「この情報を使えば、自宅の住み替えをしながら、資産を形成できる」と説いている筆者として、購入、居住、売却し、次の物件を購入して、自分の理論を実証してみたわけです。自宅として1年住み、また割安な物件があったので住み替えて、数千万円の譲渡益を手にすることができました。

自宅は譲渡所得控除を狙う

 ワンルームマンションや賃貸住宅といった不動産投資では、原則として物件の売却で利益が出ると譲渡益に課税されます。税率は5年以下の短期譲渡所得の場合、所得税と住民税で39%、5年を超える長期譲渡所得なら20%です(話を単純にするため、復興税については省略します)。

 一方、自宅の譲渡益課税には特例があり、短期でも長期でも、1人3000万円までの利益は控除されます。物件が夫婦の共有名義であれば6000万円まで控除されることになります。さらに自宅の所有期間が10年を超えていれば、3000万円を超える譲渡益についても軽減されます。

 「購入したマンションが値上がりしたのであれば、その時、次に購入する物件の相場も上がっているのではないですか?」とよく言われますが、その時点での割安物件を発見すればいいだけです。表現を変えると、購入したマンションが値上がりしたから、別の物件を探すわけではなく、割安の物件を発見したから、今の含み益を得て、次の含み益を足し合わせていくという住み替え戦略です。

 もっとも、この方法は、家族が反対するのが難点です。子供の学校への届け出から、住民票を移し、電話番号が変わるなど、引っ越しの手続きが多いことに加えて「1年の間に友人ができるなど、地域コミュニティーをつくったのに……」と文句を言われる可能性があります。

 そのため、引っ越しは業者に荷造りから依頼するなど、家族の負担をできるだけ軽くするような配慮を忘れてはならないでしょう。

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