弊社の調査によると、東京23区内のマンションの相続税評価額は平均して購入価格の約20%になりました。個人の場合は8割評価が下がるということです。法人の場合は小規模宅地の特例がないので、評価は7割減となります。

 なぜそうなるかと言うと、「タワー物件は土地持分が少ないために相続税評価額が小さくなる」と考えると理解しやすいと思います。これは単純な話なので口コミに乗りやすく、この2年で相続税に興味のない方でさえ知るような状況になりました。

 ちなみに、「タワーマンション節税」は2年前は検索されたこともないワードだったので、弊社は商標登録を取ることができました。そのくらい知られていなかったという証拠でもあります。

地価が高い場所の方が相続税評価は下がりやすい

 相続税対策で不動産を使う場合の評価額は、地主さんがアパートを建てる場合と同じ計算式で算出されます。更地で持っているのではなく、建物を建てて人に貸せば相続税評価額は大幅に下がるのです。あとは賃料収入で建築費のローンを返済できればいいわけです。これを計算式で表すと、人に貸している物件の相続税評価額は以下のように決まります(小規模宅地の特例を使った場合で計算しています)。

 土地評価額=路線価×約0.4
 建物評価額=固定資産税評価額×0.7

 この計算式を見て分かる通り、地価が高い場所の方が相続税評価額は下がりやすい傾向があります。実はタワーマンションでなくても、高い建物が建つエリアであれば、たいていの物件は8割ほど評価額が下がります。都心のオフィス、商業施設、ホテルはどれもタワーマンション並みの評価減が見込めます。実際に、上場企業の社長さんが個人でオフィスビルを買っている事例などもあります。

 タワーマンションが一般によく使われるのは、1棟ではなく1戸単位で売買ができ、住宅の稼働率や賃料が安定していて、個人でも管理しやすいからです。対策の金額が大きくなれば、1棟単位で購入するのは一般的です。

 このような相続税評価体系を問題視するなら、評価方式を変えればいいわけですが、これはかなり難易度が高いと思われます。相続税に明るい税理士は皆ほぼ同じ主張をされています。

 仮に計算式を変えて節税効果が出なくなるようにしたら、不動産投資市場は大きく冷え込むことになり、経済活動が停滞するでしょう。逆に評価額を上げたら、固定資産税が重税になり、影響が不動産所有者全員に及ぶことになります。

 是正するというのであれば、公平性を欠くほどの問題がどこに出ているのかを調査するところから始めなければなりません。その原因となる固定資産税は総務省管轄、路線価は国土交通省管轄で、調整も必要でしょう。実態を把握した後に、論点を整理して、租税の三原則「公平・中立・簡素」を実現できるように制度設計する必要があります。

 現時点では理解不足の方が軽々に発言できるような状況ではありません。私たちは毎日1000件以上のマンション価格査定をすることができるので、情報提供を含めて、新たな評価制度の設計に協力したいと考えています。

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