現在、会社の経営者は60代が最も多い。つまり、多くの会社で事業承継がこれから発生する。事業承継は痛しかゆしで、会社の業績が良いと株価が高くなるから自社株の相続税が高くなり、逆に業績が悪いと現金を失う。しかし、どちらに転んだとしても「そんなはずじゃなかった」と言っているようでは経営者としては失格。事前に様々なことを想定し、事業承継に対応できるようにすることが必要だ。昨今、話題に上ることも多い「タワーマンション節税」を中心として、不動産を相続・事業承継に活用する基本パターンをまとめた。

 事業承継と切っても切れない関係にあるのが、資産の相続です。相続税対策をしたいなら、資産評価額を低くすることが最も王道の対策法になります。

 資産が1億円未満の方なら、贈与と保険で対策するのが最も確実な方法です。贈与は110万円まで無税なので、これを暦年で繰り返します。資産移転したい相手の数だけ早い時期から始めておけば、相続時の資産を確実に減らしておくことができます。

 保険は生命保険を用いて法定相続人×500万円の非課税枠を目いっぱい使うことが基本になります。

 資産が1億円を超えると、不動産を使って効率的に相続税評価額を下げることができます。ここで使うのが通称「タワーマンション節税」と呼ばれる手法です。個人でタワーマンションの部屋を取得して他人に貸すと約8割、相続税評価額が下がります。

 様々な節税方法はあるものの、資産規模別にやるべきことはほぼ決まってきますし、上記が最も一般的なパターンと考えてもらっていいと思います。

自社株評価が高い場合にどうするか?

 次に経営者の相続税対策です。経営者の場合は自社株をどうするかが大きな問題になります。

 会社の業績が良くて自社株の評価額が高いのであれば、評価額を下げることを検討しましょう。先の「タワーマンション節税」を応用すると、評価額を下げることができます。

 法人で不動産を取得した場合、3年後に相続税評価となります。その評価額が低くなるのがタワーマンションなどの都心の収益不動産です。法人の場合は、相続税評価額を取得価格の3割ぐらいまで下げることができます。当初3年間は取得価格で貸借対照表に計上しますが、その後、評価額が7割も減少するので、自社株の評価額も下がるというわけです。

 タワーマンションを購入するときにローンを組んで、負債を大きくしておくと、株価をゼロにすることも理論的には可能です。3年後に資産価値が3割になり、総資産額よりも負債のほうが多い場合には、一時的に相続税評価上は債務超過になり、株価はゼロになります。株価がゼロならば、株の贈与に贈与税は課税されませんので、税負担なしに後継者に株を譲ることができます。

 ここでまずやるべきことは自社株の評価額の算出です。「たぶん高いはずだ」と思っていて、実際にいくらになるのかを理解しなければ対策の取りようがありません。なお、自社株評価の算出を不慣れな税理士に頼むと、1カ月たっても答えが返ってこないことがありますが、専門のソフトウェアを使えば1日でできます。自社株評価はそのくらい簡単な計算なのです。