ただし、「減価償却資産」は流動資産であり、出口(売却)戦略のない取得はありえません。売却が前提となっています。
そのためには、事前に計画を立てたほうがいいです。
「これは償却を前倒しに行い、4年経ったら売る」
「このくらい高くなったら売る」
株式投資と同じように「こうなったら」という条件を決めておきます。
不動産投資は、売買の取引手数料などかかるので、購入後すぐに売却したら、利益が残りません。逆に、含み益が出る物件はなるべく早く換金した方がいいです。これらの背反する2つの組み合わせの結果として、一般的には4~8年目に売るのが資金のパフォーマンスが最大となるケースが多いです。
不動産の譲渡益を運に任せることはしない
減価償却資産投資は為替や資産価格の変動に影響を受けます。所有者に都合がいいように価格が動くとは限りません。利益を出すためには、バリューアップして売却する投資方法が必要です。
入居者の退去時にリノベーションを行い、次の入居者の賃料を上げ、節税ニーズのある日本の投資家が買いやすい物件としてつくり込むと、出口戦略も手固く行うことができます。こうしたノウハウは現地の専門家を巻き込んでの専門性の高いもので、年間15~30%の投資利回りが期待できるので、節税目的以外でも、数億円単位の資金運用先を探している投資家にとって魅力ある物件になっています。
こうした投資法を実現するには過去からのデータが整っていて、リスクがどこにあるかが分かる市場でやることが大切になります。安心なのは先進国の既存市場で、代表例は米国です。全米の賃料は20年間で1.7倍になり、取引価格は2倍になっています。
人口が増加するところで不動産価格は上がりますし、賃料に比例して不動産価格は変化します。米国は出生率が高いのと移民を多く受け入れているので不動産価格が安定的に上がっています。また、賃料と不動産価格は連動するので、これが安定的にインフレ状態にあることは正常な成長軌道にあると言えます。
そんな米国の中でも、人口が増えて不動産価格が上昇しているエリアは限られます。そうした価格の上昇余地が高いエリアを狙った方が投資妙味は出てきます。
海外の成長力を法人の経営戦略に取り込む
今回紹介した、4年償却の不動産を使う投資法では、法人の利益がある時に繰り延べを行い、保有している間に資産価値を上げて、譲渡益を出せる準備をしておくことが重要です。
人口減少から経済成長が望みにくい日本においても、国内企業が海外資産を持つことで海外の成長力を取り込むことができます。国内が超低金利なだけに海外の運用利回りとのスプレッドは大きく、長期的には成長力の差から円安傾向になりやすいと考える方も多いと思います。
過去に経営環境が急速に悪化する事態が何度となく起きています。リーマン・ショックや東日本大震災は記憶に新しいことです。またいつの日か同様の経営危機がやって来るかもしれません。
その際に、海外資産が含み益を出していると損失をカバーすることができます。「B/S(貸借対照表)の隠し玉としての海外資産」と考えると、経営危機を経験したことのある経営者にはその意味合いがよく理解できるものと思います。
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