米国の中でも、人が増えて不動産価格が上昇しているエリアや建物割合が多いエリアは限定されます。これに加えて、価格の上昇余地が大きいエリアを狙った方が投資妙味は出てきます。
例えば、今私たちが注目している投資手法は、訳あり物件を購入してリフォーム後に適性賃料で埋め直して売却する方法です。こうしたノウハウは現地の専門家を巻き込んでの専門性の高いもので、年間15~30%の投資利回りが出るので、投資家にとっても魅力ある案件となっています。日本と違い、資産インフレを期待できる海外ではキャピタルゲインが狙える出口(売却)戦略が重要になってきます。
個人が減価償却を使うように、法人もこれを使うのが有効です。法人税率は下がっていく方向なので、今の利益を将来に繰り延べすることはそれだけで税率を下げる効果があります。これに資産インフレによるキャピタルゲインも組み合わせる戦略性も持ちたいものです。
会社の業績は良いときと悪いときと、どうしても波があります。資産インフレをする不動産をいくつも持っていれば、業績が悪いときに益出しすることもできます。これからは資産を海外に持っていく「資産分散」が転ばぬ先の杖になるかもしれません。
内部留保を経営者への貸付金にする
海外の不動産投資の最大の難点はローンがつきにくいことです。米国の居住者が不動産を買う場合なら「ノンリコースローン」という、返済できなくなっても、不動産を金融機関に差し出せば、それ以上の債務を負わない仕組みがあります。しかしこのノンリコースローンは、日本に住んでいる人には原則貸してくれません。金利も5%ぐらいと高いので、日本で借りるほうが金利は安く済みます。
最も良いのは、会社に貯まっている内部留保を代表者や役員が借りることです。内部留保を経営者への貸付金にして、減価償却資産投資ができる物件を購入するのです。この他、内部留保資金や不動産を担保として購入資金を借り入れる方法があります。いずれにしても日本で低利で借り入れすることがポイントになってきます。
また、オーナー経営者にとっては、内部留保をいくら貯め込んでも、いずれ退職金の形を取るなりして、個人所得に持って来る必要性が出てきます。そのためには毎年の役員報酬を増やしておく必要がありますし、これを手取り年収を増やしながらできるかがカギになってきます。
冒頭で経営者のAさんが「来年は役員報酬を2倍に上げて、手取りは以前の4倍にする」と言っていました。ここで注意しなければならないのは、役員報酬を効果的に上げられるタイミングが期初の3カ月に限られることです。
前述の例で、役員報酬を来期の4月から6000万円にするのであれば、理論上は、それに合わせて同じくらいの償却額を使える物件を買えばいいことになります。額面年収を2倍にして、その節税までやると、以前の年収の4倍にすることも可能というわけです。
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