日本では建物評価は築年とともに下がるのが原則です。所有者が変わっても減価償却したものが引き継がれます。このため、借入れできるローン金額も下がっていきますし、償却に使える建物評価額も減っていきます。
日本と米国の資産評価の違い
これに対して米国では不動産の評価が時価で行われるので、資産インフレ状態にあれば築年に無関係に評価は高くなっていきます。また、所有者が変わったときは、その時点の時価評価の価格で最初から償却を始めます。
この結果として、築年の古い物件の建物と土地の評価割合は、日本では20:80なのに対して、米国では逆の80:20になります。減価償却を使いたいなら、米国の方が圧倒的にいい理由がここにあります。
また、米国だと1000万円をかけてリノベーションすれば、賃料アップと稼働率の改善で1000万円以上のバリューアップをすることができます。日本ではリノベーションが評価されない面があるので、こうした成功事例は限られます。
つまり米国で不動産投資をしている人は、
不動産を購入→バリューアップさせる→賃料の上昇→購入価格以上で売却
ということを一般的に行なっています。賃料を2割上げるためには、どういう投資をすればいいのかに長けている人が多く、それを評価する土壌があるという点で、日本とは異なります。
そもそも日本の木造住宅でも、22年以上経ちながら立派な家はたくさんあります。現在建てられている戸建ての品質も高いものが多いです。そんな状況にありながら、価値が実際よりも低いのは国民の資産を過小評価している損失であり、評価制度自体を変更した方がいいと私は考えています。
日本で給与水準を上げるのは困難を伴いますが、既に所有している資産を健全にインフレさせることは十分可能です。資産が稼いでくれる割合を増やすことが少子高齢化社会への処方箋の1つとなるはずです。
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