土地を売る場合に、最も難しいのが相続のケースと言われています。

 相続が発生すると、その10カ月後に相続税の申告・納税をしなければなりません。昔は土地を物納することもありましたが、バブル崩壊後の地価が下がっている中、物納をすることがほぼ許されなくなりました。四十九日を過ぎるまでは契約行為は縁起でもないと考えると、残りの期間は8カ月ほどになります。納税に遅れることなく売却を済ますには売り方がとても重要になってきます。

土地を売るのは容易ではない

 そこで、あわてて売ろうとすると一族の間でもめ事になりがちです。

 「あんな業者に依頼するよりも、私の知り合いの方がいい」とか、「もっと高く売れるはずなのに、あんな安く売ってしまって」とか、共有の資産に手を出すと、いわゆる「争族」の始まりになります。いちどこの争族が始まると、修復は不可能です。1人が弁護士を立てたら、ほかも立てることになり、お互いが話し合うことはなくなります。第三者が円満に寄りを戻させた事例を私は見たことがありません。争族にならないためにも売り方には関係者の納得が必要になります。

 この難問を解決するために開発された方法があります。売却の結果として、3つの特徴がはっきりしています。

  • 相場より2割ほど高く売れる
  • 3カ月で確実に換金可能
  • 売れた後に売り主間でもめない

 この結果を生み出す方法を説明しましょう。まず売却の依頼を受けたら、土地を買うことを仕事としている事業者(例えば、マンションやアパートや戸建ての開発事業者がこれに当たります)で購入可能性があるすべての会社100社程度に持ち込んで検討してもらいます。持ち込む先は、エリアや土地の特徴(例:高いものが建てられるか? 道路との接し方は広いか?)によって決まりますが、全国で数千社の買い手がいる中から絞り込みます。ここで大事なのは情報がその会社以外に漏れないことなので、守秘義務は厳にやってもらっています。

 土地情報が持ち込まれた事業者100社の中には土地の仕入れ目標が未達の会社が2~3社あります。こうした会社を業界用語で「お腹がすいている」と言います。こうした会社は多少高くても買ってくれます。そうした数社に最後にオークションをしてもらいます。こうして期日までに高値で売り切ることができるのです。相続人に随時状況報告をしながら公明正大に取引を行うため、もめることがないのです。この方法は広告をして待っているのはなく、丹念に100社ほどを廻らないといけないので、かなり労力がかかる仕事になります。

 こうして、売却できると、分割できない不動産が換金されて分割可能な現金資産となり、差し迫った納税申告期限までに納税資金が用意でき、取引に悔いを残さず、家族間でもめることもなくなります。

 こうした売り方を私たちの場合は「スタイルランド」と呼んでいます。実際にやるには、事業者が買うような規模感の土地であることや事業者目線での価格査定をしてみる必要があります。

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