国立社会保障・人口問題研究所によると、日本の人口はすでに右肩下がりで、これから下げ幅が拡大していきます。2010~15年で下がり始めて、下げ幅は拡大していき、増えることはありません。今から50年後の2066年には8000万人ほどで4600万人も減り、100年後の2110年には日本の総人口は4300万人弱で、今の人口の1/3ほどになってしまいます。

 次の表にあるように、都道府県別の地価の10年トレンドの表を見ると、今後地価が上がるのは東京都だけで、それ以外の道府県はすべてマイナスになっているのが分かります。

過去10年の土地価格の推移
過去10年の土地価格の推移
※10年前を100%とした場合の現在の地価水準が今後も続くと仮定した場合の将来の地価水準
 10年複利で計算している
(出典)国土交通省地価公示からスタイルアクト作成
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土地価格は長期的に大幅に下がる

 この表は、10年前の何%まで地価が下がったか(上がったか)を基に、これからの50年間を予測しています。人口が増えるであろう東京都は2%ずつ地価が上がっていて、50年後は資産価値が10%増える計算になり、持っていても良い資産となります。逆に大きく下がっているのは徳島県です。この10年間で40%も下がっていて、50年後は現在の8%の価値しかなくなると予測できます。

 これに加えて、不動産資産には、固定資産税と都市計画税(一部地域を除く)として課税評価額の1.7%が毎年課税されます。つまり、東京都以外は資産価値の目減りと税金を合わせて、毎年3%以上のロスを生み続けるのです。

 過疎や人口減により、このような物件が全国で増え、今後社会問題になることが予想されます。国や地方もこうした土地を引き取ってはくれません。売るに売れない不動産にも、切り離すことができなければ税金を払い続けなければならないのです。いずれタダでも買ってくれない土地が大量に生まれることでしょう。

残す資産を決める5つの理由

 個人でも法人でも「なんとなく大事に」持っているだけでは、土地はリスクになる一方です。

 土地を守ろうとする人は「創業の地」や「おじいちゃんが大切に守っていた」など、土地に本来なかったレッテルを貼りがちです。

 不動産をたくさん持っている人は、「これは絶対に手放さない」など、最初の段階で残す資産を決め、それ以外のものに対しては、気持ちも切り離したほうがすっきりします。

 「思い切り」という言葉から分かるように、思いを切らなければ、前に進めません。客観的に残すべき理由は、5つあると考えています。

  1. 人口増加エリア
  2. 再開発エリア
  3. 観光客の増加エリア
  4. 災害リスクが低い土地(震災や河川の氾濫など)
  5. 容積率200%以上で高度利用できる土地

 これらに該当しないのなら、残したい理由をはっきりさせるべきです。

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