情報を「編集」、ハードウエアとしても強化

今和泉:そして今回の最新版『ハンディマップル 東京 詳細便利地図』では、原点回帰というか、地図らしい地図になっていますね。カラフルになった一方で、道路のフチの色もまた淡くなっていますが…

市川:やはり紙の地図を見て頂いている見るのは上の世代が多いので、再びそういう方にも見ていただけるような、「地図らしい地図」になりました。持ち歩きやすいように紙を軽くしつつ、耐久性を持たせたり、“ハードウェア”としても工夫しています。肝心の地図ですが、まず、目標物(主要な施設)の文字がハッキリ見えるようにするため、道路の色、背景の色を落としました。

吉田:また、これまでの地図は目標物(主要な施設)から鉄道・道路等の交通情報まで網羅的に、できるだけたくさん載せていました。このため、特に東京都心部はビルが多く、ビル名やマンション名を入れるだけでかなりの文字量になり、見にくい面もありました。

 この点を解消すべく、情報を取捨選択して見やすくしたのが今回の『ハンディマップル 東京 詳細便利地図』になります。

『ハンディマップル 東京 詳細便利地図』(右)と、文字を大きく読みやすくした『でっか字』版(左)
『ハンディマップル 東京 詳細便利地図』(右)と、文字を大きく読みやすくした『でっか字』版(左)

今和泉:どういう情報を重要と判断されて、どういう情報を削ったんでしょうか。

市川::例えば、市役所などの公共施設に毎日行く人はそれほどいませんよね。一方、スーパーやコンビニは日々の生活に必要で、多くの人が使います。それと同時に、こうした商業施設や量販店は、主要道路沿いでも目立っていて、すぐ目に入ります。

 東京23区といっても、ずっと商店街が拡がっているわけでもなく、郊外に行けば大型施設や駅のない地域もあります。そうしたエリアで目標物になるものとしても、スーパーの重要性は高い。その一方で、道を通っていてもなかなか、マンション名やビル名は見えません。こうした情報はなるべく削りました。こうした情報の強弱は、うちでも初めての試みとしてやってみました。

左から、『文庫判 東京 都市図』(2009年発売)、『文庫地図 東京』(2015年発売) 、そして今年発売の『ハンディマップル 東京 詳細便利地図』。最新版ではマンション名の表記が減っている一方、スーパーの名称(「イトーヨーカ堂」「ライフ」など)が目立つ表記になっている
左から、『文庫判 東京 都市図』(2009年発売)、『文庫地図 東京』(2015年発売) 、そして今年発売の『ハンディマップル 東京 詳細便利地図』。最新版ではマンション名の表記が減っている一方、スーパーの名称(「イトーヨーカ堂」「ライフ」など)が目立つ表記になっている
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