地理人、地図の「フォント愛」を聞く
今和泉:地図に使われるフォントの変化にも大変興味を持って追っています。
山中:…今和泉さん、そんなことまで追いかけているんですか。
今和泉:特に、「ゴシック体」から「フォーク」というファンシーなフォントに行った経緯を教えていただきたく…。
昭文社・市川智教さん(吉田さんと同じ部署に所属、以下市川):これまで長い間ゴシック体を使っていましたが、地図の中で一番目立ち、最初に目に入る市名や町名を、よりハッキリ視認できるよう、ある程度の尖りがあるフォークを使ってみました。明朝のように横棒が細くて縦棒が太いので、画数が多い漢字はハッキリ見えます。ただ、実は最近「丸ゴシック」に変えています。
今和泉:そう! それは昨年衝撃が走った事件でした。
山中:事件って。
今和泉:『県別マップル』で初登場だったと思いますが、まさかの丸ゴシックが来るとは…。フォークが使われ始めた頃はまだ違和感があって、やっと慣れてきた頃だったんですが、そこで丸ゴシックが突如登場したのは、大きなインパクトがありました。
市川:地図にもう少し、ぱっと見たときに柔らかい印象を出したいということで、丸ゴシックになりました。あとで紹介する『ハンディマップル 東京 詳細便利地図』は「カクミン」を使っていますが、実験的にイメージを変えてみようということでやってみました(※カクミンの特徴については、モリサワのホームページの解説をどうぞ。こちらから)。
山中:なるほど…確かに、見比べてみると、地図から受けるイメージって、フォントにかなり引っ張られるんですね。丸ゴシックだと、ビジネス用っぽい印象がずいぶん薄れます。
色使いにも変化と工夫が
今和泉:色使いについても教えて下さい。『県別マップル』シリーズは、さきほどのフォントの変化も早く、色合いが少しずつ明るくビビッドになっているのに対して、『スーパーマップル』のほうは比較的変化が少なく、ベーシックなデザインですが、この理由はどういったところでしょうか。個人的には『スーパーマップル』はトラックドライバーの定番、という印象がありますが。
山中:どんどんマニアックになっていくなあ…。
市川:『スーパーマップル』は、長いこと使われている方が多く、そういう方によく買い換えていただいています。そのため、今までのイメージ感を大きく変えたくないので、変化はマイルドです。『県別マップル』ですが、こちらは老若男女、色んな人に使ってもらいたいので、以前と同じ形を守るのではなく、より柔らかい形にしたいと思っています。それで色合いやフォントの刷新をしています。
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