続いて、函館駅付近です。
現在も「中心市街地」と位置づけられているエリアの南端ですが、十字街付近よりも建物は高く、オフィスビルもあります。十字街付近よりは新しい装いの建物が並び、アーケードも掛けられており、最盛期は歩く人でごった返していたようです。
函館市役所や日本銀行はこのエリアにあり、観光客が訪れる「朝市」もこのあたりです。1930年から棒二森屋があるのはこの函館駅前。交通、商業、観光、ビジネスの拠点として多くの人が集まりそうですが、商店街を歩く人はほとんど見かけません。観光は西部地区が中心で、それ以外は内陸部に今も少しずつシフトしているためです。棒二森屋が閉店を検討しているのも記憶に新しいニュースでした。
この空洞化を補うように、2016年に複合施設「キラリス函館」ができました。高層部はマンション、低層部はショッピング・公共施設フロアとなっています。棒二森屋の再開発はマンションとホテルの入った複合施設の新築を検討しています。こうした、商業と観光から、宿泊と住宅にシフトする動きが中心性をつなぎとめる鍵になるかが注目です。
現在の街の中心として位置づけられているのが、市街地北端にある五稜郭のエリアです。史跡「五稜郭」のある五稜郭公園付近、市電の「五稜郭公園」電停付近の市街地です(JR五稜郭駅からは遠い)。函館の中心的な百貨店、丸井今井函館店は五稜郭公園前の電停前にあり、1970年前後に十字街付近から移転してきました。函館市内で最も商業施設の集積が高く、いつも街を歩く人々の姿が見られます。
「無印」の移転が象徴的
他の地域に比べて、高校や大学等の学校が多いことも特徴で、2005年には市立図書館が、函館駅周辺(函館公園内)から五稜郭公園付近に新築移転しています。また、2017年にはダイエー跡地に複合施設が建ち、高層階はマンション、低層階が「シエスタハコダテ」(商業施設)となりました。函館駅前の棒二森屋に入居していた無印良品がここに移転してきたのが、街の中心の移動を示す、最近の象徴的な出来事です。
五稜郭付近の市街地が栄える一方で、高度成長以降は市街地の拡大とモータリゼーションの進展で、より北東の内陸部に重心が移り始めます。地図で見ると広い商業施設が目立ちますが、ほとんど平屋で、広い駐車場を備えており、その様相はまさに都市郊外です。
1980年の長崎屋(現在のMEGAドン・キホーテ)、イトーヨーカドーの開店で弾みがつき、現在はヤマダ電機、ニトリも出店していますが、多くの店舗が無料駐車場を備えています。このあたりが函館市に編入される以前の亀田市の中心地でもあり、現在も函館市役所の亀田支所があります。MEGAドン・キホーテとイトーヨーカドーの間にコムサストアとアニメイトといった若年層を集める施設もあります。また、北海道庁の支庁にあたる渡島地域振興局は近年、五稜郭付近からこちらに移転しています。
さきほどの3つの市街地は路面電車で行けますが、こちらは路面電車の通らないエリアです(バス便は豊富)。幹線道路(産業道路)沿いでもあり、車での来訪を多く見かけます。
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