それでも「古い街」が人気が再燃するのは面白い現象です。築年数の古い建物が多く、空室も目立つという悪条件や地価の安さは、自由な試行錯誤が可能な余地でもあり、こうした条件を活かした小さなリノベーションが生まれやすい。地価が高く、建物がすぐに満室になるような中心地ではできない発想が具体化し、その面白さが人を呼び込むのです。

野毛~日ノ出町
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 野毛は近年はしご酒スポットになっている、と前述しましたが、それは今に始まったことではありません。とりわけ都橋商店街は、狭小居酒屋が密集するビルで、長らくオヤジが集まる場末の酒場のイメージでした。ところが、近年は新規開店と若年女性の来店の流れが生まれ、イメージが変化しています。

アートをきっかけに「わざわざいく街」に

 日ノ出町駅から坂を登った高台の住宅にも新たな動きがありました。一軒家をリノベーションしたコミュニティスペース「CASACO」は、学びの場、イベントスペース、留学生のホームステイ先として、多様な人々が集う場づくりを始めています。

日ノ出町~黄金町
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 京急線の黄金町駅と日ノ出町駅間の鉄道高架沿いは、以前は違法な風俗店が軒を連ねていましたが、摘発と24時間の監視で全店舗が廃業となり、街はもぬけの殻となります。その余地に入ってきたのがアートです。

 2008年から毎年アートイベント「黄金町バザール」が開かれ、イベント期間でなくても営業しているのが「黄金町アートブックバザール」(最寄り駅は日ノ出町駅)。アート、デザイン、建築関連の古書を扱う書店です。京急線の高架下は、以前違法風俗店があった場所でもあり、黄金町の変化を象徴する場所です。まだまだ空き店舗は多いものの、街全体が、全く異なる雰囲気になり、それに合わせて客層も劇的に変わっています。

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