引きで見てみると、佐世保と佐賀と同じ構図が広がっています。静岡市は周囲を山に囲まれ、都市化の広がりは山によって止められ、高密度化します。おまけに、古くからの市街地と中心駅(静岡駅)が近く、こちらもコンパクトにまとまっているため、都市機能は非常に狭い範囲に凝縮されます。

 新潟市は周囲に平野が広がっており、都市化の勢いを受け止める余地がふんだんにあるため、面的に四方八方に広がります。……おっと、四方八方に、というのは間違いですね。新潟は北に日本海があるため、北側には拡大できません。

 このことは街の集客力に大きく影響します。まず、南側と、同じ信濃川の東岸である東側からは、古町よりも万代シテイや新潟駅の方が来やすい街になります。西側の狭い信濃川西岸からのみ、古町のほうが来やすいエリアになりますが、これも都市圏が大きくなりすぎると関係なくなります。車を持つ人は郊外のモールへ、公共交通を頼る人は、所要時間がかかるバスよりも、速くかつ定時性の高い鉄道が使われるため、新潟駅の求心性は高まります。

 このため新潟駅に大型商業施設ができれば大きく構図が揺れ動きますが、先に見たとおりその予定は今のところないようですので、新潟駅至近の街「万代シテイ」の求心性は今後も保たれることでしょう。

 もうひとつ、冒頭で出した熊本市の例を見てみましょう。こちらはいくつかの要因が重なって、熊本駅から離れた熊本市街地(通町筋電停付近)の中心性が保たれ続けています。

 まず、西側に山があるため、西には市街地が拡大しません。そのかわり、東側には平地が広がり、こちらに住宅地が増えていきます。西側にある熊本駅の求心性が高まることはなく、東側にある熊本市街地の賑わいは保たれ続けます。

 平地は南側にも広がっています。南側の平地は標高の低い、稲作に向く水利の良い農地ですが、住宅地としては水利は関係なく、標高の高い平地が好まれます。こうしたことから熊本市街地は東方向に広がり、このことが東寄りにある熊本市街地の賑わいが続く要因にもなっています。

街の変化を動態観察しよう

 静岡と佐世保は、あらゆる中心的機能が重なっていますが、街の構図が昔から変わらず動いていない街でもあります。新潟や佐賀は、あらゆる中心機能が分散していますが、街の中心機能が時を経るごとに動き、街の構図が変わっていく…この動く街の生態を捉えると、過去や未来を読み解くヒントが得られることでしょう。次回は、そんな視点から街を見ていきます。

(つづきます)

■変更履歴
国土地理院から画像使用の承認が降りましたので、該当する画像9点を差し替えました[2018/06/21 13:15]