また、どの都市でも共通の問題として、バス会社ごとに案内所はあるものの、別会社の情報は知らず、利用者は複数の案内所を介して目的のバスを見つける手間を要することが挙げられますが、八戸市では、3番乗り場(中央通り)向かいにモビリティセンター(路線バス総合案内所)を設け、人を介した案内も行っているのも特徴です。

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 路線図も、全体の位置関係や方向が分かる概略図、鉄道路線図に似た簡略化された路線図、地形やバス停名が分かる路線図、中心街の乗り場ごとの路線図、と複数のスケール、表現方法で作られています。この路線図は、八戸市に限らず、一般的な都市でのバス路線案内にも応用可能な、情報の編集の良い例でもあります。

どのサービスがバスに強いか調べました

 と、ここまで頑張っても、路線バスがなかなか鉄道には追いつかないのが、広域にまたがる情報提供サービスです。

 駅やターミナルでの誘導の工夫だけでなく、より大きなエリア、たとえば首都圏、京阪神など全体で統一感のある利便性、サービスを担保したいところですが、自治体は、あくまでその自治体内の施策しか打てず、他地域は他地域の裁量で行うため、どうしても“ムラ”は出ます。鉄道の「どこにいても、駅は十中八九見つかる」安心感に、「バス停」が追いつくのは難しい。

 ここに吹き始めた追い風が、Webやアプリで提供される経路検索サービスです。バス会社だけでなく、自治体(都道府県)を超えて統一的なサービスを提供しつつあります。

 たとえば代表例はGoogleの経路検索ですね。バス停名を入れずとも、駅や住所、施設名で検索できます。Googleは「バス路線検索」ではなく、単純に「出発地から目的地までの最適経路検索」の結果の中で、バスも選択肢のひとつとして提示されます。「鉄道を使おうと思って、駅から駅への検索をしようと思ったら、バスの経路ばかりが出てきた」ということが、実際にあるのです(前編で触れた「たてバス」的な状況などです)。

 こんなに便利なバス便があっても、知らなければそもそも乗ろうとさえしないでしょう。その状況が経路探索サービスで解決され、最近は「バスに乗るつもりはなかったけど、検索結果でバスが出てきたから使ってみた、そしたらこれが便利で!」という声を聞きます。後で述べますが「バス情報を知らない人(別の方法で移動しようと思っていた人)に、いかにバス情報を届けるか」が、路線バス活性化のための重要な鍵で、その大きな一歩となっているわけです。

 しかし、残念ながら、経路検索サービスが全てのバス会社をカバーしているわけではありません。バス会社は地域別に分社化され、特に埼玉県や千葉県では、小規模な会社が散在しています。

 どの経路・時刻表検索サービスが、どのくらいのバス会社をカバーしているのか。
 惜しくも首都圏のみの例示ですが、筆者が実際に調べてまとめてみました。次ページをご覧ください。

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