ネット広告の運用で、広告の入稿・配信・効果測定までを統合管理するDSP(Demand-Side Platform)を使うことは、もはや当たり前となってきた。なぜかというと、DSPの登場は、広告代理店がこれまで膨大な工数をかけてきた広告運用を一気に楽にしたからである。

 純広告は売上規模を拡大するために必要不可欠だが、この10年間で媒体は多様化し、掲載枠も膨大な数となった。そんな中で生まれたDSPは、複数のクリエイティブ(広告制作物)の同時入稿・同時掲載を可能にし、広告代理店の運用工数を大幅にカットしたのである。多くの媒体は入稿本数や同時掲載本数に制約が多く、運用が非常に大変だったが、DSPはその大変さから解放してくれる非常に便利なシステムなので、あらゆる広告主がDSPの運用に莫大な費用を投下している。

 これ以外にもアドテクノロジーは発展しており、構成要素(写真、キャッチコピー、ボタン部分など)を入れ込めば、自動的にディスプレイ広告をその組み合わせ順に作ってくれるツールも誕生している。こうした便利なツールの登場によって、広告代理店の負担は大幅に軽減されてきている。毎日のように配信状況をチェックして、どのクリエイティブが良いとか悪いとかを見ながら、素材の差し替えを指示していた時代は終わった。私みたいに、ネット広告を初期からやっている人間から見ると驚くべき進歩である。

DSPの「最適化」配信は何の「最適化」なのか?

 DSPや新たなツールが次々に登場した中で、広告業界で急に使われ始めた言葉がある。それは「最適化」だ。莫大な数のクリエイティブの中から最も効果が期待できるものに配信を集中させる「最適化」は、煩雑な入稿後の配信調整をする必要がなく、とても便利である。

 ただ、これは一体何を最適化するのだろうか? 答えは「クリック率の最適化」と思っていないだろうか? さらに言うと、その「最適化」は本当にクライアントの売り上げを最大化してくれる「最適化」なのだろうか?

 「最適化配信できます」というDSP会社やディスプレイ広告作成ツールの営業トークを聞き、「じゃあそれで!」と簡単に答えている方にこそ、ぜひ今回のコラムを読んでもらいたい。