ユニクロ、ソフトバンクも実践する

 別に通販会社だけではない。日本では勝ち組と言われているユニクロやソフトバンクなどの一般企業でもこの“二重人格”戦略を採用している!

“二重人格”のケーススタディー(3):ユニクロ

※広告のイメージを筆者が独自に作成

“二重人格”のケーススタディー(4):ソフトバンク

※広告のイメージを筆者が独自に作成

 例えば、ユニクロのテレビCMを見ると外国人のモデルを起用した、“超上品”なシャレオツなテレビCMとなっている。煽りや検索窓などのCTAなんてほぼない。その一方で、ネット広告・折り込みチラシなどの「刈り取り広告」はどうだろうか。一面に所狭しと商品の写真が並べられていて、割引価格などのお得さを全面に出しているまるでスーパーのチラシのような“超コテコテ”のクリエイティブである。

 ソフトバンクのテレビCMなどもこれに該当する。ソフトバンク、NTTドコモ、KDDI(au)など、大手携帯キャリア系は、テレビCMにレスポンスを求めていない。テレビCMはあくまでも「ブランディング広告」として、“超上品”に、逆に「刈り取り広告」は“超コテコテ”のクリエイティブのトンマナで、“二重人格”を認めているのである。勝ち組通販会社でも一般企業でも同じ。この“二重人格”戦略で展開しているのだ。

◆勝ち組通販が必ずやっている超シンプルなノウハウ(3)
「ブランディング広告」と「刈り取り広告」のコスト配分はMAXで「1:2」!

 最後に、重要となるのが「ブランディング広告」と「刈り取り広告」のコスト配分である。

 認知から購入に至る段階を上から下へ示したブランドファネルは一般的に“逆三角形”の構図なので、認知に相当するブランド広告費は“たくさん使わなければならない”という錯覚を生んでいるのだが、先ほどお伝えした通り、実際に「ブランディング広告」を打つことで、「刈り取り広告」への「倍増効果=ドーピング効果」は約1.5倍がMAXである。ということは、小学生でもわかる計算だが、「ブランディング広告」に投下できる予算は、「刈り取り広告」の予算の約半分がMAXだということである。

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「普通の通販会社」の広告コスト配分……

 規模が小さいうちはテレビCMなどの「ブランディング広告」なんか打たずに「刈り取り広告」だけに集中するべき。コテコテのクリエイティブでレスポンスをとってなんぼ。売り上げを上げてなんぼだ!

 実際に世の中の一般的な普通の通販会社は「刈り取り広告」だけなので、広告コスト配分が下記の通り。「刈り取り広告」の広告費が1億円の場合、レスポンスが1万件だとすると、CPOは1万円となる。

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