5年後にはネット通販で申込フォーム入力の手間が一切無くなる?!

 Amazon Payの登場によって、私がECの爆発的飛躍の条件に挙げていた、「通販会社が利用できる個人情報のデータベース」が提供されることになった。国内最大のECサイトであるAmazonの月間利用者数は2016年5月時点で3339万人。つまり、日本人の約3分の1以上の個人情報がAmazonのデータベース上にあるからだ。Amazon Payとの連携の効果は、他のECサイトにとってかなり大きい! そのECサイトは、通販会社が利用できる個人情報のデータベースを構築したと言えるからである。

 Amazonに次いでユーザー数が多いのは、楽天市場の3181万人、その次にはYahoo!ショッピングの1876万となっている。これはあくまでスマートフォンを使うユーザー数であるので、実際にはもっと多くの日本人がこれら大手のECサイトから購入歴がある。今後は、これらの大手ECサイトもAmazon Payと同様の動きをしていくはずだ。

 また、大手ECサイトに加え、スマートフォンを販売する大手通信会社も定期決済機能の提供に動いている。例えばNTTドコモが展開する「ドコモかんたん入力機能」については、既にECサイトとの連携が可能であり、スマートフォンからの申込フォーム入力の手間を軽減する機能がある。PayPal(ペイパル)やニッセンなどの大手決済会社についても、ECサイトとの連携に前向きである。いずれはApple Payでも定期受注機能に対応し、指紋認証のみで申込みが完了する世界になるかもしれない。

 冒頭で「テレビ、パソコン、スマートフォンなど、ユーザーの情報を持っているデバイスにもEC決済の利便性を高められる可能性がある」とお伝えした通り、デバイスそのもので個人情報を紐づけてECサイトの売上拡大につなげる仕組みが整いつつある。ちなみに私が目を付けているデバイスはテレビなのだが、もしCMを見た人がテレビからそのまま申し込みできる仕組みが完成したら、EC業界は大きな変化を遂げるはずだ。

 これまで通販会社や我々のようなネット広告コンサルティング会社は、CVR(申込率)改善のために多くのA/Bテストを実施し、クリエイティブ方面からECサイトの最適化を図ってきた。だが、それは微々たる改修であったことは否めない。近年のCVR改善施策はほとんどが申込フォーム入力の手間をいかに省くかであり、言ってしまえば“チマチマとした改善”にとどまっていた。

 だからこそ、Amazon Payの台頭は、そもそも申込フォーム入力の手間が不要となるため、申込フォーム自動入力の強力な手段として大きな注目が集まった。もっと大きな話をすると、デバイスに登録された個人情報で商品購入が完了するフローの完成によって、あと5年もすれば“申込フォーム自動入力”が完全なものとなり、ネット通販サイトから申込フォームが消えるかもしれない。これからの通販会社はこうした未来予想図をちゃんと見据えて、今後の施策を練っていく必要がある。

※売れるネット広告社は2017年4月、“申込フォーム自動入力”という商標を登録申請しました。