しかしながら、ユーロクリアがロシアのユーロ債を扱うという前向きな判断を示したことや、今後予想される米FRBの年内の利上げまでに間があることが、今回政府がユーロ債発行の再開を決定するに至った主な背景である。

 5月の発行時と同様、ロシア国営のVTBキャピタルが唯一、引き受け・募集を行ったが、かなりの応札超過となったため利回りは3.82%となり、5月の発行時と比べて約1%低下した。年内は追加発行の余地はない模様だが、国際舞台に再び戻ることに成功したロシアは、今後は自ら決定したユーロ債発行枠を徐々に拡大し、2014年のウクライナ危機勃発以前の水準である60億~70億ドルまで増やしていくと予想される。

企業は制裁対象外の活動を拡大

 ロシアのコメルサント紙(電子版)はイタリアの大手銀行インテサ・サンパオロのアントニオ・ファリコ頭取とのインタビューを10月24日に掲載した。インテサ・サンパオロと言えば、今年ロシア政府が制裁対象である石油最大手ロスネフチを民営化する際のファイナンシャル・アドバイザーに選んだ金融機関だ。

 さらに、報道によれば、同行が、対露制裁を受けて資金難に見舞われている北極圏のヤマル半島のヤマル液化天然ガス開発プロジェクトの資金調達を手助けする可能性も浮上している。

 しかし、インテサのようなグローバルな顧客層を持つ大手銀行が制裁を無視するとは思えない。インタビューによれば、インテサはロシア企業とのビジネスについては制裁を無視したわけではなく、制裁を守りながら、その対象でないところでビジネスモデルを展開していると主張している。

 対露制裁には、例えば償還期間30日以上の新規債券の取引禁止のような明示的な面と、制裁対象外の銀行や企業、あるいは対象外の活動などを暗黙に禁じる政治的圧力のような非明示的な面がある。

 その一方で、インテサのように制裁を意識しながら期間30日以上の融資を可能とする商品を開発しビジネスを続けている金融機関もある。政治的な圧力から生まれた制裁の中でも、裁量に任せられる部分は今後に緩和されていくことが予想できる。

 ロシア経済にとり、外部でも良い変化が起こりつつあり、2年という長い冬に終わりを告げ、新しい季節の到来を先取りする春一番のような追い風が吹き始める可能性は高い。