ロシア経済発展省が発表したデータによれば、2016年1~7月期は輸出が1525億ドルとなり、前年比27.1%減少したのに対して、輸入は948億ドルで同7.7%低下した。輸入の大半(45%)を占める機械・機器と運搬機械全体の輸入は前年比4.8%低下したものの、その内、通信機器が2桁(同15.4%)の増加を見せたほか、農業・建設関連機械の輸入(トラクターが同3.6%増、ブルドーザーが同4.8%増)が増えていることは一部の企業の前向きな投資スタンスを示唆している。

資金調達が困難でも対外債務を返済

 ロシア中銀の速報値では、2016年1~9月期の資本流出は、大半を占める対外債務の返済が減少していることを受け、96億ドルとなっている。前年の同期間の480億ドルや2年前の同期間の762億ドルと比較して大幅に減少した。

 この2年間は超低金利時代となっているにもかかわらず、ロシアはその“安い”資金へのアクセスを失い、国際金融市場で新規資金調達ができないでいた。その中で対外債務を返済し続け、新興国にしては今どき珍しく債務削減を継続している。2014年1月時点で7300億ドルに上っていた対外債務残高は2016年7月現在で28%減少し、5235億ドルとなった。

 外貨準備高に照らして見ると、2014年1月時点の外貨準備(5100億ドル)が対外債務残高対比で70%であったのに対し、2016年7月現在では外貨準備(3930億ドル)により対外債務の75%を賄うことができるようになった。ロシアの対外ポジションが強化されたとも言える。

 ロシアの対外債務返済は年末に集中する傾向がある。2014年12月のルーブル暴落時にもロシア企業の債務返済能力が危惧されていたことは記憶に新しいが、返済金額は減少している。ロシア企業は今年第4四半期に230億ドルを返済する予定であり、うち134億ドルは12月の返済となるが、金額は1年前と比べて24%減少している。

 上記の返済予定額には企業グループ内、つまり返済の延長などが可能な金額も含まれているため、実際の返済額はこれより若干少ない。例えば、ロシア中銀の予想では、本年第4四半期の名目返済金額230億ドルに対し、実際の返済金額は216億ドルとなる。

 最近はロシア国債に対する投資家の関心が高まっているが、そこにはロシア経済のデレバレッジや比較的強い対外ポジションが背景にある。

 9月22日、ロシア財務省は拡大を続ける財政赤字の補填に充てる目的で12.5億ドルのユーロ債を発行した。原油価格が予想を下回るなか、景気回復ペースが比較的緩慢であることは、本年の対GDP比の財政赤字が政府目標の3%を超過し同3.6%となる可能性を示唆しているため、政府には赤字を補填する追加の財源が必要となっている。

 ユーロ債の発行は近年のロシアにおいては通常の慣行であったが、特に対露制裁や地政学的環境の悪化を受け、2013年から国際債券市場での資金調達を停止していた。しかし、ロシア政府は今年5月にユーロ債発行の再開を決定、今年の予算法で決まった30億ドルの枠のうち17.5億ドルのユーロ債を発行した。

 発行は成功し、応札超過となったものの、西側の投資銀行が参加を拒否したことなどを理由にユーロクリアとの交渉が2カ月にも及んだ(交渉は7月に決着した)。このような資金調達方法が不安定、且つ複雑であることを示唆している。