既に通貨ルーブルへの下押し圧力が増大

 新制裁を盛り込んだ法案が上院を通過した6月15日以降、投資家の不安が募り始めたことを反映しルーブルに下げ圧力が掛かっている。運悪く原油価格が時期を同じくして下落基調に入ったこともルーブル安に弾みをつけており、6月21日には4か月ぶりに1ドル=60ルーブルまで下落した。

 法案が欧州の反発を買ったことで、少なくとも下院がすんなりと可決する可能性は薄れてはいるものの、天然ガスのパイプライン関連以外でも、米ロ関係、ひいてはロシアと西側諸国との関係にも深刻なダメージを与える内容が含まれているため、投資家が暫くは「様子見」姿勢をとるという慎重な選択を行ったことにも驚きはない。

 実際、法案には、「財務省は法案発効後180日間以内に現行の制裁対象にロシア国債を追加した場合の米国への潜在的な影響について調査し、詳細な報告書を提出すること」と記述されている。ロシア政府は2016年にユーロ債発行を復活させ、30億ドルを成功裏に調達した。

 2014年以降の景気後退からの負の遺産である財政赤字は、ソブリン・ウェルス・ファンドの活用や、同基金では補い切れない分の一部についてユーロ債を発行することにより手当されたが、ロシア国債が制裁対象になれば財政への悪影響が出かねない。

 ロシア財務省は6月19日、10億ドル相当の10年物ユーロ債(利回りは4.25%)と20億ドル相当の30年物ユーロ債(5.25%)を発行した。ロシア政府は、投資家の85%が外国人で、利回りはこれまでで最低となったとして成功を主張しているが、専門家らは新制裁の可能性を示唆する報道の影響で、10年債には0.1%ポイント、30年債には0.3%ポイント程度の「リスク・プレミアム」が上乗せされたと指摘している。