それぞれの時代の「覇権国家」となるためには、その時代の中で100%力を発揮できるよう国家体制をそれぞれの時代にぴったりと合わせなければなりません。

 しかし。

 時代というものはかならず移ろいゆきますが、ひとたび時代が新しい段階へと移行したとき、旧時代にその体を“特化”してしまった覇権国家は、新時代へ体を合わせることができず、滅びゆく宿命を負うのです。

 それはあたかも、地球史上「中生代」(約2億5000万年前~約6500万年前までの時代)の地球環境にその体をぴったりとマッチさせることで繁栄した恐竜が、何らかの原因(隕石落下説が最有力)で地球環境が激変したとき「新生代」(約6500万年前~現代)を生き残ることができなかったように。

中世代を通じ地球上で無敵だった恐竜は、当時の地球環境に過剰適応していたために、環境の変化に対応できず生き残ることができなかったとみられている。(画像:PIXTA)

F1レーシングカーの場合

 長く生き残るためにもっとも大切なのは、環境が変わったときにも対応できる余裕、すなわち「ゆとり」なのです。

 たとえば、車。

 とにかくスピードを上げるためだけに特化した車に「F1カー」がありますが、その目的を達成するため、F1カーのメカニズムはペダル・ステアリング・シート・ベルト・エンジン等々、市販車と比べて極端に“あそび”が小さく設計されています。そのおかげで、市販車など比較にならないほどのスピードアップやシビアな操作性が実現されますが、そのために故障もしやすく、低速で走るとかえってエンジンがオーバーヒートしてしまいます。

 「サーキットレース」という世界にのみ特化された車体は、まさに「レース」以外の世界ではまるで使い物になりません。

レースに特化したレーシングカーのメカニズムは、街中の一般道では使いものにならない。