人類の歴史を紐解いていくと、ときどき歴史が大きくうねることがあります。

 歴史が大きく動くその要因は様々ですが、そのひとつに「知の解放」があります。支配者側の都合でいえば、民衆が無知であればあるほど御しやすいため、洋の東西を問わず古今を問わず、支配者側は「知の独占」を望み、大衆をできるかぎり“無知の檻”に閉じ込め、それによって支配を円滑かつ盤石なものにしようとしたがります。

 しかし、「知の独占」をつづけたい支配者側と「知の解放」を求める庶民との間でしばしば衝突が起こることになりますが、このときかならず歴史が大きくうねることになるのです。

 現在、まさに世界は「知の解放」の只中にあり、歴史が大きく動こうとしています。今回はそのことについて歴史的に迫ってみたいと思います。

古代における「知の解放」

 人類史上唯一、地中海世界を統一することができた国は、後にも先にも古代ローマのみで、これ以外ひとつたりともありません。

 それほどの“偉業”を成し遂げた古代ローマですが、建国当初はイタリア半島の中ほどにポツンと生まれた小さな小さな都市国家にすぎませんでした。そんな“点”のような国が、なぜ人類史上唯一の「地中海帝国」を築きあげることができたのでしょうか。

紀元前6世紀頃から紀元3世紀頃まで、古代ローマの政治・経済の中心地だった「フォロ・ロマーノ」の遺跡。(写真:PIXTA)

 ローマが初めて共和政を打ち建てた当初、ローマは貴族(パトリキ)による「知の独占」状態にありました。当時はまだ「慣習法」であり、法体系が成文化されておらず、それは貴族だけに独占されていたのです。