漫画にも描けないような、天才棋士現わる!

 筆者は仕事柄、中学生と接する機会もありますが、中学生というのは知識的にも精神的にもほんとうにまだ子供。「自分が中学生の頃ってこんなに幼稚だったっけ?」と思うほどですが、おそらく筆者もそんなもんだったのでしょう。

 しかしそんな中学生が、ゴルフのようなハンディもなく、柔道のようなウェイト別もない、若者も老人も同じ土俵に立って真剣勝負!という世界で、デビューから29連勝!ということが話題になりました。

 その中学生が生まれる何十年も前からその道の第一線でやってきたトップ棋士たちをバタバタと破って連勝街道を突き進むなど、もし彼を主人公にした漫画を描いたら「あまりにも非現実的!」と担当編集者から怒られ、読者からそっぽを向かれることは必定。『ヒカルの碁』(小学生の少年が平安時代の天才囲碁棋士の霊に導かれて囲碁の世界に入り、ライバルとの戦いの中で成長していく物語、©ほったゆみ=原作、小畑健=作画)の主人公ですらそこまで強くありませんでした。それほど現実離れした、漫画にも描けないような人物が現実に現れようとは!

 所謂(いわゆる)「天才」──。

 「天才とは努力する凡才のことである」という言葉もありますが、これは天才本人が謙遜で(または天才の自覚がなく)発言しただけのことで、客観的事実としてやはり「天才」は天才です。「如何(いか)な天才でも努力なくしてはその才を発現できぬまま腐らせてしまう」というのは事実でしょうが、同時に、凡人がどれほど努力しようが、プロの初陣から29連勝など誰にもできない相談なのですから。

アインシュタインの場合

アルベルト・アインシュタイン(1879~1955年) (画像:PIXTA)

 ところが、彼の母親や祖母に言わせますと、彼はランドセルを学校に忘れてきたり、宿泊した将棋会館に旅行用品一式すべてを置いたまま空の旅行カバンで帰宅したり、将棋のことを考えながら歩いていて何度もドブに落ちたり……と、とにかく「生活能力が低い」といいます。

 じつはこれ、典型的な「天才の症状」なのです。例を挙げればキリがありませんが、たとえば、かの“20世紀最大の天才”アルベルト・アインシュタイン(1879~1955年)。

 アインシュタインが「相対性理論」を発表したとき、そのあまりにも斬新・突飛な理論は、世界中のほとんどの物理学者たちが反論するどころか、理解すらできなかったといいます。