ハリボテ国家・北朝鮮

 開戦に向けてのハードルとして「戦争口実」がありますが、これはたいした障害とはならないでしょう。

 アメリカがひとたび戦争を欲したが最後、「挑発」「誘導」「因縁」などあらゆる裏工作を駆使して戦争口実を作ることなどお手の物、それでもダメなら事実の「捏造」(ベトナム戦争へと発展するきっかけとなった、1964年のいわゆるトンキン湾事件など)程度のことは平気で行う国ですから。(このあたりの詳細に興味がある方は拙著『戦争と革命の世界史』をご覧ください)。

 もはや開戦「待ったなし!」の情勢を受けて、マスコミも「北朝鮮は1000発ものミサイルを持っている!」「そのうち1発でも東京に着弾したらこれだけの被害が出る!」と国民の不安を煽っていますが、その点については筆者は比較的楽観しています。

 軍事力というものは経済力によって支えられます。洋の東西や古今を超えて、経済の破綻した国が保有する軍隊など、外観がどれほど恐ろしげに見えようとも“張り子の虎”にすぎません。そしてこの「1000発」というのはあくまで北朝鮮の“自称”。

弱い犬ほどよく吠える。

 たとえば、平壌の街並みは高層ビル群が建ち並んでいますが、あれはドリフの舞台セット同様、見えるところだけしかない壁だけのハリボテです。そんな“ハリボテ国家”北朝鮮が「我が国は1000発のミサイルを保有している!」と叫んでみたところで、それをいちいち真(ま)に受けることはできません。

 また、仮にミサイルが1000発あったところで、発射台が1000基あるわけでもなく、それだけの燃料もないでしょう。さらには、ミサイル発射には準備に相応の手間と時間がかかるのに、アメリカ軍が雨あられと空襲を行う中、それだけのミサイルを発射できるはずもなく。

米朝開戦となれば!

 また、米朝開戦となれば「すわ、第三次世界大戦の前哨戦か!?」とマスコミが騒ぎ立てていますが、それもないでしょう。

 ヒトラー・ドイツの場合には米・英・仏・ソという当時の覇権国家を敵に回して6年間も持ち堪えましたので、その間にどんどん戦線が拡大していって「世界大戦」へと発展してしまいましたが、今回、北朝鮮などほんの数日と保(も)たないどころか、アメリカ軍の侵寇(しんこう)が始まった途端、戦わずして崩壊する可能性すら考えられます。

 おそらくは中国がこれに介入するヒマもチャンスもないでしょうし、また中国も北朝鮮と心中する覚悟はないでしょう。

大山鳴動鼠一匹。

 それより、戦いの終った後の混乱が日本に及ぼす経済的・外交的・政治的・社会的影響の方が筆者はずっと心配です。

 しかしその点に関しては、またの機会に。