1893年1月、リリウオカラニ女王はイオラニ宮殿で政治演説を行い、これに呼応して数千人のハワイ国民が宮殿前に集まり気勢を揚げましたが、この動きに対してついにアメリカは軍を動かしてこれを制圧、王国を亡ぼしてしまいました。こうして、いったん「共和国」という体裁を経たあと、5年後の1898年、正式にアメリカに併合されることになります。

 現在のアメリカの国旗(星条旗)は、青地に白星(星)に赤と白のストライプ(条)の柄ですが、13の「条」が独立当初の東部13州を表し、50の「星」が全50州を表しています。その50番目の星となったのがハワイでした。

歴史から学ぶ、移民を受け容れた国の結末

 こうして、欧米列強による宗教的・経済的侵掠に加え、目先の利益を得るために次々と移民を受け容れた結果、ハワイ独自の文化・言葉・宗教が破壊されたのみならず、急速に混血が進んで民族のアイデンティティーが失われ、今や彼らの文化を引き継いで行く純血のハワイ人そのものがほとんどいなくなってしまいました(ハワイに住む純血ハワイ人はわずか数万人)。

 現在ではサトウキビのプランテーションも衰え、世界的なリゾート地として一見華やかな様相を見せているハワイ。しかし歴史を振り返れば、今のハワイは、アメリカによる侵掠と移民の受け容れによって、ひとつの民族と文明が消滅した果ての姿なのです。

 筆者は、ハワイのホテルの窓から見えるダイヤモンドヘッドや、ワイキキの美しい海、そこでたわむれる人々を眺めながら、かくのごときハワイの歴史に想いを馳せつつ、日本の未来を考えていました。

 今、日本政府は、この頃のハワイ同様、労働力不足の解消のため、安易に移民受け容れを画策していますが、これはとんでもない行為だと筆者は考えています。もし日本が移民を受け入れるようなことになれば、ハワイの歴史を持ち出すまでもなく、その先に待っているのは文字通り「亡国」です。

労働力不足の解消に役立つのは、一時的なこと

 過去、移民を受け容れて、それが「先住民にとって」プラスに働いた例などありません。世界史の中に例を挙げればキリがありませんが、一例として、大西洋を越えてやってきた白人を温かく迎え入れたインディアン(アメリカ先住民)たちがどうなったかを思い出してみてください。虐殺と差別と弾圧を受ける歴史を歩まされて、その文化・民族はいまや消滅寸前です。

 移民は労働力不足の解消に役立つかもしれませんが、それもほんの一時的なことにすぎません。やがて移民はその人口を増やし、必ずや先住民の文化・伝統・価値観・社会・宗教を衰微させる元となっていきます。

 その段階になって移民がもたらすマイナスの結果にようやく気づいたとしても、今さら彼らに母国へ帰るよう要請するなどということは絶対にできませんから、移民の受け入れはまさに「パンドラの箱」。ひとたび開けてしまったが最後、もはや元の状態に戻すこと能わず、自国の文化は終幕へ向かっていくことになります。

 日本が、インディアンやハワイ人や、移民を受け容れて衰退していったその他の民族の二の舞とならぬことを願うばかりです。