人生に役立つ知識を世界の歴史から学び、読者の方々が日々の生活に役立てていただくことを目指します。筆者は日頃、歴史を学ぶ歓びを人々に伝える、「歴史エヴァンジェリスト」として活動しており、このコラムをきっかけに、1人でも多くの方に「歴史を学ぶ楽しみ」を知っていただければ幸いです。
シリーズ
神野正史の「人生を豊かにする世界史講座」

完結
15回
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“過剰適応国家”は短命、ゆとりこそ長命の秘訣
近年、「ゆとり教育」の弊害が表面化して社会問題となったが、「ゆとり」自体は社会にも国家にも必要不可欠なもの。歴史を紐解けば、「ゆとり」をなくしてその時代に過剰適応した国家は、世の中が変化した時に対応できず衰退に向かうこと…
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「知の解放」が歴史を動かす
人類の歴史を紐解いていくと、歴史が大きくうねる「転換点」がいくつかありました。例えば、活版印刷術、義務教育、ラジオ・テレビ、インターネット──これらの登場により、民衆は歴史が動くのを目の当たりにすることになったのです。
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組織は時とともに腐る、三國志で学ぶ栄枯盛衰
「三國志」の時代ほど、学ぶべきことの多い時代はない。1つ例を挙げれば、国や組織が外敵によって滅ぼされたように見えても、それはきっかけにすぎず、実際には中から腐るのだということ。そして、腐ることを避けることはとても難しい。
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天才の見事な欠落、一事に秀でた人物の共通点
天才たちの中には「普通の人が普通にできること」が全くできない人が少なくない。人が持つ能力の合計値は皆同様なのだが、天才たちは特定の才能により多くの能力を配分しているため、ごく普通のことをする才能さえ欠落することになる。
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降伏や逃走もOK、最後まで生き残った者が勝ち
戦いについて歴史が教える教訓は次のようなものだ。まず、勝てぬ戦や不要な戦は逃げてでも回避すること。しかし、いざ戦って負けてしまう時には、降伏し敵に媚を売ってでも生き延び、逆転の機会を忍耐強く待つ、粘り強さを持つことである…
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ナポレオンとフランクリンに学ぶ、敵との間合い
「敵意」というものは、どんなに隠そうとしても敏感に相手に伝わる。しかも、それはたいてい増幅されて自分に返ってくる。このため敵意はどちらにも益にならない。ならば、敵とどのような間合いを取ればよいのか、偉人に学んでみよう。
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「監視」「批判」がはびこる社会は破滅へ向かう
「一億総白痴化」という言葉が流行したことがあったが、今はさしあたり「一億総クレーマー」「一億総監視社会」が相応しい。だが、ネチネチと批判したり、相互に監視するような社会は、歴史の観点からすれば、崩壊に向かっていると言える…
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開戦前、国家は密かに“予行演習”を実施する
「国家が本気で戦争を決意」したとき、“予行演習”を始めることが多い。例えばヒトラー時代のドイツは、軍の強さを試すため、スペイン内乱に乗じて「ゲルニカ爆撃」などを行ったふしがある。最近の、米国によるシリアやアフガニスタンへ…
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英国のEU離脱の主因は、国家の「老化」である
英国がEUからの離脱手続きに入る。英国民がEU離脱を決めた主因は移民問題と言われるが、歴史的観点から言えば、国家が老いたためだと筆者は考える。死なない人間がいないように、歴史上のどんな強国も老いる宿命から逃れられない。
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ナウル、世界一の贅沢に溺れた国の結末
太平洋にナウル共和国という小国がある。リン鉱石による莫大な収入で一時は税金や医療費、学費などすべて無料で、働く必要がなかった。しかしやがて、リン鉱石が枯渇した時、国民の3割が糖尿病に蝕まれ、国民の勤労意欲は失われていた。
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ワイキキの海を見ながら、ハワイの歴史を考えた
ハワイは「アジア初」と言われる「日本国憲法」の発布より、約半世紀も前に憲法を公布した独立王国だった。だが、欧米の植民地政策の標的とされるようになり、やがて米国に併合される。ハワイの命運を分けた要因について考える。
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民衆を地獄に落とした歴史上の“中二病”政治家
自意識過剰が引き起こす言動や発想を表すネットスラング「中二病」。新しい言葉だが、実は「中二病」的な政治家は歴史上、昔から存在し、多くの民衆を地獄に落としてきたのである。直近の「中二病」的政治家は、トランプ大統領である。
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トランプ氏が分水嶺、民主主義と独裁のバランス
難局への対応には「独裁的リーダー」が必要と言われる。実際、民主的制度の中に独裁的な仕組みを盛り込んだ国もある。トランプ米大統領が濫発する「大統領令」もその一つと言えるが、濫用が常態化すると独裁政治を招く危険もはらむ。
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暗記力競争の勝者が、リーダーになる悲劇
「勉強=暗記」と信じている人がいるが、それは大きな勘違いだ。「考える」「理解する」「創造する」といった能力こそが重要なはずだが、日本では暗記達人が国を動かすエリートになる。教育制度改革を断行しなければ、国が亡びるだろう。
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かつて「成人式」は命がけの通過儀礼だった
先だって行われた成人式ではまた各地でバカ騒ぎが行われました。しかし、世界を見回せば、成人になる者に厳しい通過儀礼を課す国は少なくない。バカ騒ぎした日本の若者たちにも、生きることの厳しさを知ってほしいのですが…。
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