「『ほどほど』に抑えておこう。そのほうが軋轢もなくていいや」

 これまでの新卒社員は、いくら草食系とはいっても同期社員や先輩社員より多く売り上げれば誇らしい気分にはなったし、それで表彰されれば顔をほころばせた。ところが、来年入社の新人以降はそうではありません。Aさんより多く売り上げたら「気まずくなってしまう」のではないか、そんなことになるくらいなら「ほどほど」に抑えておこう。そのほうが軋轢もなくていいや──と、そんなふうに考える人材が入ってくる。

 昨今の小学校の中には、(本当かどうか直接確認してませんが)こんなところがあると聞きました。運動会では「教育上よろしくない」として順位はつけない。だから徒競走ではテープの前で全員がいったん止まり、そして手をつないで一緒にゴールする、と。もしかすると彼らは、それに近い感覚を引きずって社会に出てくるのかもしれません。

 経営者として、社員は常に「同期に優ってやりたい」「できれば先輩をも上回ってやる」と意気込んでもらわないと困るが、来年に入社する新人にとってはそんなものはすでに時代遅れです。こういう「草食系」とすらいいにくいタイプの人材を、いったいなんと呼ぶべきでしょうか。

「みんなでゴール」を、仕事において行います

 そこでわが社では来年、新人研修のやりかたを変えます。これまでは一応、先輩社員を「お世話係」にして、基本的に個人単位でルートセールスをさせ、そこから上がってくる数字を、やはり個人レベルで評価していました。従来はそれで問題はなかったのですが、来年以降の新卒に関しては──よろしくない。それでは「抜きんでた成績」を出した者と「それなり」の数字しか出せなかった者との間のギャップが、拡がってしまうことになる。

 来年からは「チームプレイ」です。三人一組でチームをつくらせ、共通の目標を与える。三人は力をあわせてそれに取り組み、ミッションをクリアすれば達成感を三人等しくわかちあえる。そういう仕組みにしました。先述した「テープの前で全員がいったん止まり、そして手をつないで一緒にゴール」を、まさに仕事においても行います。

「みんな」でゴールする。(画像:PIXTA)

 「どうしてそこまで迎合する必要がある?」

 いうまでもないでしょう。そうでもしなければ、あたら獲得した人材に辞められてしまうからです。

 「そんなの、武蔵野みたいな低レベルの会社に限った話じゃないのか?」

 そうかもしれません。しかし「去年入社してきた新卒社員と、今年の新卒は別物である」と考えておくことは、マネジメントをする上で決して無駄にはなりません。