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互いに楽しいコミュニケーションを!(写真=PIXTA)

 ジェネレーションギャップがどうのこうのという心配は無用です。人間性は20年や30年でそうそう変わるわけではないのです。2018年のアイドル歌謡に夢中になっているあなたの若い部下と、1985年の世界規模のチャリティコンサートに胸を熱くしたあなたは、基本的に同じ人です。同じように軽薄で、あるいは同じように真面目です。当時の思い出話や失敗談などを面白おかしく披露して、積極的に部下の笑いを取りに行ってください。

 もちろん競馬の話も歌謡曲の話も、それ自体はなんら仕事には資することのない、あえていえば無駄なものです。しかし、無駄だからといって軽視していいというものではない。良好なコミュニケーションとは、こういうくだらない会話が双方向的に、かつ大量に積みあがることをいうのですから。

あなたは部下と「共感」でつながれ

 組織のコミュニケーションを良好にすることの重要性は、いまさら私が指摘するまでもないでしょう。部門内のそこかしこに点在する問題点の洗い出しや改善、人員のケアやフォローといったことは、まずコミュニケーションありきで成立するものです。これを逆にいえば、部下とたくさん馬鹿話をして良好なコミュニケーションを築くのは管理職にとって最重要の仕事のひとつということになります。

 「鈍い」管理職は、OJT(On the Job Training)やミーティングなどを通じて部下とコミュニケーションを取ろうとします。それはそれで決して間違いではありません。しかし仕事「のみ」を媒介にしてコミュニケーションが取れるのは、ごくごく一部のエリートだけです。そして我々というのはこの原稿を書いている私と、それをお読みの皆さんのことですが、断じてエリートではない。であれば最初は仕事とは関係のないところから徐々にコミュニケーションを円滑にしていき、やがてそれを仕事にしていくほうが確実です。

 部下と馬鹿話に興ずることができることとは、つまるところ部下に対する共感の表明です。実はこの意味はとても大きい。というのも人は、自分に共感してくれる人がいるという事実だけでモチベーションを維持することができるからです。

 あなたの部下は「すばらしく仕事ができない人」です。あるいは「とてつもなく身勝手な人」です。だからあなたは、こと仕事の上では部下に共感することは難しい。しかし馬鹿話なら、それこそどのタレントのファンだとか、競馬が好きだとかいった話なら、共感は容易なはずです。そして部下にしてみれば、仕事上での共感も趣味での共感も、さして大きな違いはありません。

 あなたの部下は、いまは大過なく仕事をしていたとしても、いずれ必ず失敗をします。そのときあなたは管理職として叱らなくてはなりませんが、このとき彼に「××課長には、以前これこれの件で共感してもらえた」という体験の有る無しでは、叱責の受け止め方にも大きな違いが出てきます。「サークルの部室」にいるメンバーは、いうならば共感によってつながっていることを忘れてはいけません。

 これから仕事納めまで、あなたは何度か部下との酒席を持つでしょう。それがあなたと部下との関係を再構築する契機になることを心から願っています。