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 あなたの学生時代のことを考えてごらんなさい。同級生と、あるいはサークルの仲間と定期的に飲み会をやったでしょう。その場であなたは友人をつかまえて延々と説教をしましたか? 親友の試合中のミスをねちねちと突っついたり、上から目線のアドバイスをしたりしましたか? しなかったですよね、当然。そんなことをすれば友情が傷つき、せっかくの酒も不味くなりますものね。そういう分別を、あなたは部下に対して持つべきです。親友にしないことは部下にもしてはいけません。

 というと「学生時代のサークルと会社とでは話が違う」という反論が出てきます。ここはあえていいましょう、「同じです」。どうせ中小企業ではありませんか。よほどの大企業や、最先端の研究をしているハイテク企業ならばともかく、そんなに大きな仕事も困難な業務もしていないでしょう。そうである以上は中小企業の職場は、まさに大学のサークル室のような和気藹々とした雰囲気であるべきです。だってそのほうが、働く人にとっては絶対に楽しいではありませんか。

 この「楽しい」は意外に軽視されがちな点です(ビジネスシーンにおいては特にそうです)。しかしよく考えてください。人間は、楽しいことでなければ、それが仕事であれ遊びであれ絶対に長続きしないものです。さあ、ここでまた学生時代のことを思い出していただきましょう。

 あなたは授業にはろくに出もしなかったのに、サークルの部室には一日中たむろできたでしょう? 悪友らとたわいもないおしゃべりをして時間をつぶして、それがなんだかとても楽しかったでしょう? 楽しかったから、文化祭での発表の準備や対外試合のための練習など面倒くさいことも頑張れたのでしょう?

 会社もそれと同じことです。部下に「会社に行くのは楽しい」と思わせることがあなたの務めです。サークルの部室に顔を出す感覚で楽しく出社してくる部下が増えれば増えるほど、あなたの部門は強くなっていきます。人間は、楽しいことは一所懸命にやるからです。

くだらない会話を双方向的に、かつ大量に

 飲み会の話に戻すと、あなたの部下が飲み会を嫌がるとすれば過去にこれみよがしな説教や自慢をしたからでしょう。だとすればその事実はいまさら変えようはありませんが、いまはまさに忘年会のシーズン、そして来年早々には新年会、そして歓迎会・送別会などで嫌でも酒席を同じくすることになります。そのときが挽回のチャンスです。あなたには部下を叱り飛ばしたい理由が山のようにあることは私も重々承知しています。しかしそれはとりあえずグッとこらえ、楽しく会話ができるよう心がけてください。まずは「××課長と飲む酒は意外に楽しいぞ」と思わせることが大切です。

 どういう会話をしたらいいものか、と頭を悩ませる必要はまったくありません。くだらないこと・どうでもいいことを山のように訊き、そして話してください。欅坂46がどうとか、有馬記念で3万円すったとか。競馬はともかく歌謡曲はよくわからない? しょうがないですねえ、では昨今、伝記映画の大ヒットで再び注目を集めているQUEENの話でもしてください。「俺、ライブエイドはリアルタイムで観てたんだよね」とか。部下がロックファンならきっと食いついてくるでしょう。