部下は、あなたよりずっと仕事ができない

 …と、のっけから辛口になりましたが、私はあなたに嫌な思いをさせようというのではありません。むしろ悩める管理職のあなたに処方箋を差し上げようと思って本稿をしたためています。さあ、根源的に考えてみましょう。なぜあなたの部下は、思うような成果を挙げてくれないのでしょうか。

 ここで「成長が充分でない」とか「本人のモチベーションが高くない」とかお考えだとすれば、それらはひとえにあなたの責任に帰する問題です。部下を成長させるのもモチベーションを高く維持させるのも、すべて管理職の大切な仕事です。そして、ためしにこう考えてみてください。「自分が期待する・要求する目標値が高すぎるのではないか」と。

 あなたは部下に、100の成果を求めている。あなたは優秀なかたで、部下と同じ年代のころにはすでに100の成果を出していた。だから彼も同じくらいできるのが当然、それでようやく成果と見なせるのだと考えてしまう。

 そのお気持ちは重々理解しますが、あまり感心はできないです。ここは年長者の余裕をもって、あなたが心を入れ替えてください。あなたの部下は、あなたよりは仕事ができない人です。いきなり100なんかできるわけがない。当連載の前回記事「『できない』人材だからこそ役に立つことがある」で私は「優秀な人はその優秀さゆえに、優秀でない人の気持ちがわからないことがある」といった内容の記述をしました。このことの意味をもう一度考えてください。

 部下が挙げる成果は50~60、あなたはそれが不満かもしれない。だとしても、損さえ出ていなければ成果は成果ではありませんか。であればあなたはそれを認め、誉め、もって彼の成長を促し、70、80、ついには100へと、少しずつ導いていくように心を砕くべきです。

 「学問に王道なし」という言葉があります。お気楽に学問を究められるやりかたなんて存在しない、という意味です。部下の教育もそれと同じです。どれほど優秀な管理職であろうが、一足飛びに部下を一人前にすることなどできません。

 人が成長するためには「認め」られ「誉め」られ、小さな成功体験を少しずつ積み上げていくのが最善です。もちろんそれには時間も手間もかかる。しかしそれを厭わない管理職、そして「この部下は必ず成長する」と信じて疑わない管理職が優秀なのです。