自動販売機の中身も変化しています(写真=PIXTA)

 依然として明るい材料が見出せない状況の中で、どの中小企業も死にものぐるいで営業活動をしています。新しい商品やサービスを開発したり、広告を打ってみたり、セールやフェアを開催してみたり。とにかくあの手この手で少しでも多く売ろうとしています。それはもちろん大切な施策です。

 ですが広報や販促は、ややもすればそれ自体が目的化しやすいもの。ここはよく考えてみましょう。本当に大切なのは「売ろう」とすることではなく、実際に「売る」こと、そして利益を挙げ、もって経営の安定に資することです。

 では、それはうまくいっているのでしょうか? つまり、思惑通りにきちんと商品なりサービスなりを売り、そして投じたリソースに見合うだけのリターンは得ている、そんな中小企業はどれだけあるのでしょうか?

 私の知る限りでは、残念ながら「ごく少ない」です。私はセミナーや各種勉強会などを通じて全国数百社の中小企業経営者・管理職のかたとおつきあいがあるが、もう毎日のように「売れゆきが思わしくない」「どうしたらもっと売れるようになるでしょうか」と相談が寄せられてきます。TVや新聞では「景気も長足の回復を遂げている」という旨の報道も目にはしますが、こと中小企業でその恩恵に与っているところは稀ということでしょう。

 さて、そういう相談を受けて私がどうお返事するかというと、「売れないものをいつまでも未練がましく売ろうとしてはいけませんよ」と。

 凡庸な経営者は、あるいは管理職は、ひとたび「これはいいものだ」「素晴らしいサービスだ」と思うと、そのまま「売らなくては」「売れなくてはおかしい」と連想を働かせてしまう。お気持ちはわかりますが、実はここに根本的な誤解があります。ものなりサービスなりの善し悪しを判断するのはあくまでもお客様です。買うか買わないかを決定するのもお客様。つまりあなたが「売りたい」「売れるはず」と思うのは、あくまでもあなたの側の論理に過ぎず、お客様の都合とは必ずしも一致しないです。

コカ・コーラはもはや炭酸飲料の会社ではない

 どれほどの大企業、ブランド企業であっても、お客様の都合を無視して経営が成り立つはずはありません。あなたが本来すべきは「なぜ売れないのだろう」と悩むことではなく、お客様の需要を正確に汲み上げた商品なりサービスなりをどんどん仕入れ(あるいは生産し)、そしてどんどん売ることです。私がよくいうのは「よいものが売れるのではない。売れるものがよいものです」。自社の都合とお客様の要望、両者の齟齬(そご)に気づかずにいたら、どんな販促もまったく無意味です。

 ここで、私が「お客様のことをよく見ているなあ」といつも感心する企業の例をご紹介させていただきましょう。それは、名にし負うコカ・コーラ ボトラーズジャパン(以下CCBJ)です。ちょっと外に出て、同社の自動販売機を探してみてください。「コカ・コーラ」という世界的な大看板を掲げているにもかかわらず、コーラをほとんど売っていないことに気づきます。