(写真=PIXTA)

 部下が言うことを聞いてくれない。勝手なやり方で仕事をする。だから当然、成果も挙がらない。ならばと逐一指示しても軽んじる。それを咎めれば「聞いていません」と開き直る……。あなたが管理職の立場におありなら、過去にこうした経験をしたことも一度や二度ではないでしょう(あるいは現在進行形で経験しておられるかもしれません)。お気持ちは痛いほどお察しいたします。私もまた、同じようなことで日々頭を痛めている身です。

 私は、わが社の若い社員を見ながらいつも心でこう嘆きます。「学校は劣等生だったのに、さぼること・言い訳することに関してはどうしてこうも知恵が達者に回るのだろうか」……と、こう書いて「なんか既視感があるな」と気づいて記憶をたぐるに、ああ、それは若かりしときの私でした。

 私も、いまは部下に対して「さぼらず働きなさい」とか「ちゃんと指示に従いなさい」とか言っていますが、学生時代は手の施しようのない劣等生で、社会人になってからも怠け癖・遊び好きは直らず、仕事をさぼって、時たま繁華街をうろうろしていました。

 そんな私も「さぼりと言い訳の達人たち」を率いて会社を営むこと40年あまり、近年ある種の方法論は見えてきました。

「正論」で部下を動かすことはできない

 というと反論もあるでしょう。「小山はなにをいっているんだ」「××をしなさい、と言っても部下が聞かないから俺は苦労しているんだ」と。なるほど、それはまあ確かにそうですね。

 しかし、経験豊富なあなたがいう「××をしなさい」は、常に正論です。反語めきますが、実はそれが問題です。どうして? 正論は、正論であるがゆえに人の逃げ場を奪い、反発を招いてしまいかねないからです。一たび反発心を抱いた部下は、以降はあなたの言うことなんか聞かなくなります。

 ではどういうときに人は動くか? 楽しいとき。あるいは危機感を覚えたとき。はたまた、それをする(しない)ことが自分の利害に大きく関わると確信できたときなどです。さあ、もうおわかりですね。部下を指示に従わせたいのならば、まずあなたの側から仕事の楽しさを演出したり、危機感を煽ったり、利害を実感させたりと、相応にお膳立てをしておく必要がある。