わが社は、大阪くらいまでの出張ならば原則として日帰りでした。まず大部分の仕事はそれで大丈夫ですし、なにより泊まりがけとなると出張手当や宿泊費がかさむからです。するとどうなるか。業務が立て込んでくると、週に二回、たとえば月曜日と水曜日に大阪まで日帰り出張する社員が出てきます。これまでは私を含むだれもが、そうするのが当たり前だと思っていました。

 しかしよくよく考えてみると、東京~大阪間を新幹線で往復すると約3万円の交通費がかかります。週二回なら約6万円です。ということは、中一日のインターバルで二度出張するくらいなら、社員にはそのまま現地に逗留してもらったほうがいい。当節ならそこそこのビジネスホテルに二泊したって1万5000円前後でしょう。出張手当を払ったとしてもなお1万くらいは浮く計算です。二回の往復が一回になるから、移動時間約6時間も浮く。

 ならば中日(なかび)はどうする? この効率化に着目した管理職は部下にこう命じていました。「××さん、二日目の火曜日は大阪で遊んでいていいよ」。遊んでいてもらったほうがコストは安くつくのですからそういうしかないのですが、しかしそれで彼が本当に一日遊ぶかというと、そんなことはないのですね。ちゃんとお客様のところに顔を出したり、ノートPCやタブレットから会社のホストコンピュータにアクセスして作業をしたりする。それは会社としてはまったく好都合なことです。

従来は無駄でなかったものも、経営環境の変化によって無駄になる

 こうしてわが社は、それまで「当たり前」になっていた風景を変えようと躍起になっています。本当にこのやりかたで正しいのか。思考は固定化されてはいないか。他に方法はないのか。そういう視点で業務フローを改めて見返してみると、出てくるわ出てくるわ、ちょっとびっくりするくらいに効率化すべき点が見つかりました。わが社も相当に業務改善は進んでいたほうだと自負していましたが、それでもなお排除すべき無駄が10も20もありました。

 これは、わが社が落ちこぼれ企業だから無駄を見過ごしていたということももちろんありますが、それ以上に「経営環境が変わった」ことが大きいと思います。従来は効率的だったやりかたが、経営環境の変化によっていつの間にか非効率なものになっていた。まこと経営とは「環境適応業」というわけですが、同様のことは本稿をお読みのあなたのところでもきっとあるはずです。環境の変化は、規模の大小を問わずあらゆる企業に平等に訪れますから。

 どうかあなたはルーチンの仕事に慣れることなく、常に「これでいいのか」「もっといい方法はないのか」と考えることを止めないでください。経営者が求めるのは、そういう自問ができ、改善点を洗い出し実行できる管理職だからです。

(構成:諏訪 弘)

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