管理職とは「経営者の名代」に他ならない

 間の悪いことに──と、ここでこういう言い方をするのもどうかと思いますが──、ここ数年のわが社は人件費が大幅に増大しています。新卒を中心に人材採用を増やす、3000円のベースアップを実施する(新卒社員の基本給を20万円以上にしたかった)、賞与も過去最高額を払う…。労働分配率を上げて従業員満足度を高めないと退職が増え、ひいてはわが社の競争力が削がれてしまう、という判断からそうしたのです。

 この方針でやっている以上は経費に対してはシビアにならざるを得ない。ここが放漫だと、わが社のような典型的オールド・エコノミーの中小企業では経営の屋台骨がゆらぎかねないです。売上はその会社を量るうえで重要な数字ですが、それ以上に大切なのは利益がいくら出ているかを(=具体的な「額」で)きちんと把握することです。今回はそのことに私が気づくのがやや遅れたという憾(うら)みがあります。本当にもったいないことをしました。

 一般社員は、こう考えます。「お客様は増えている」「売上も伸びている」「であれば自分の給与も、もちろん賞与も上がっていいはずだ」と。私もまあ、わりにそういうところがあったのは既述の通りですが、しかし私は経営者なので、「このままではまずい」「ちょっと調子に乗って経費を使いすぎた」ということに一般社員よりはずっと早く気づく。そして手を打つ。

 「手を打つ」とは、端的には悪の経費の支出を引き締めるとか、惰性化した業務のムリ・ムダ・ムラを洗い出して効率化するとかいった施策になります。それは一般社員にとっては「居心地のよくないこと」です。となると、ここで管理職は「仕事」をしなくてはいけません。あなたは常に経営者寄りの意識を持ち、部下にきちんと状況をいい聞かせたりして、調整役を果たせるように努めるべきです。管理職とは「経営者の名代」に他ならないのですから。コストにかかわることならばなおさらです。

「出張二日目は遊んでいていいよ」。それで経費が浮く?

 私はわが社の管理職に命じました。「必要な経費と、そうでない経費を徹底的に洗い出しなさい」。人件費は、社の方針として削らない。このため、それ以外の分野での業務効率化が必要になりますが、ここでだれも予想していなかった、ある効率化に気づいた管理職がいたのです。簡単にご紹介しておきましょう。