最悪は「せっかくここまでお金も人員も注ぎこんできたから」と過去の投資を惜しみ、いつまでも撤退の決断ができないまま、ずるずると損害を拡大し続けてしまうことです。お気持ちはわかりますが、一たびお客様が「要らない」「買わない」と判断されたら、それを翻意させることはできません。容易でないことにリソースを濫費し続けるなら、まったく別なことに着手する。そのほうがお買い上げいただける可能性はずっと高くなる。

 あなたも一度、自社が提供しているサービスで、お客様の需要が高いのはなにかを探って下さい。これまで軽く見ていたものが馬鹿にならない売上を叩き出していたり、あるいは逆に、このさい切り捨ててもいいような生産性の低いものが少なくなかったりといった気づきがいくつも得られるはずです。そしてこの気づきは、今後あなたが部門を率いていくうえで非常に有効な指針を与えてくれるでしょう。

中小企業は常に局地戦&総力戦

 それは端的にいえば、需要が高いものにヒト・モノ・カネのリソースを注いでサービス品質にいっそうの磨きをかけることです。その他のサービスは縮小するか、あるいは潔く切り捨ててしまう。何度でもいいますが、中小企業にできることは少ないから、虻も蜂も取ろうと欲張ってはいけません。「狭く、しかも深く」です。前回・今回の原稿で、私は「進化」という言葉を何度も使っていますが、深化という形の進化です。

 この「狭く、しかも深く」をスピード優先で実行することです。それがあなたの率いる部門の力を強化します。中小企業が大企業にも勝る武器が持てるとすれば、それは意思決定の速さを措いて他はないといっていい。これはなにも対大企業に限った話ではない。体力に劣る中小企業がライバルと争い、そして打ち勝つならば、必然的に分野を絞り、そこに総力を集中させることです。それ以外に方法は存在しません。

 なまじ能力の高い管理職は、すなわち本稿をお読みのあなたのような管理職は、ともすれば「あれも、これも」と手を拡げたがるものです。複数の手段を持つことがリスクヘッジになると思うからです。しかしあなたの身体がひとつである以上、できることにはおのずと限界はある。あなたは、そういう分散戦ができるのは大企業に限った話だと肝に銘じてください。中小企業の戦いは必然的に局地戦・総力戦にならざるを得ないです。

 かくして局地(=狭い範囲)でトップを目指す。管理職に求められる発想です。あなたはきっと、正々堂々と名乗りを上げて正面から戦うのを潔しとしているところがあるでしょう。お気持ちはわかりますが、やはりそれは心得違いです。それでは絶対に格上のライバルには勝てません。

(取材構成:諏訪弘)