大企業に、正面から戦いを挑んではいけない!(写真:PIXTA)

 前回の当連載で私は、宅配便業界が社会の変遷とともに自社サービスを拡充してきたことを引いて、「進化の止まった会社を待つのは、ただ死のみ」と書きました。今回はそれを補足する話をします。あの文脈の中で「進化」は、ややもすれば「サービスの拡大」とイコールに受け止められてしまいかねないと危惧したためです。それは私の本意ではありません。

 私の記事をお読みの皆さんは、まず大部分が中堅・中小企業の管理職でしょう。ありていにいえば、資金も人的リソースも充分でなく、毎日ぎりぎりの勝負をしている。そんな状況で闇雲にサービス内容を拡大していけばどうなるか。いうまでもありませんね。よほどの幸運でもない限り、自社に致命傷を与える結果になる。

 あなたの会社は、地場のお客様を相手に商売している。ところがそこに、ある日突然大手資本のライバルが出店してきた。ブランド力・資金力に劣るあなたの会社は、やむなくサービス品目を分不相応なまでに増やしたり、値段を下げたりして対抗する(値段を下げるのも、ひとつのサービスの形です)。

 しかしライバルはさらに品目を増やし、もっと大きな幅で値下げ攻勢をかけてきた。あなたの会社はもう原価すれすれまで下げざるを得ない。そうこうするうちについに資金が尽きてきて…。

 ね、「よくある話」でしょう? あなたはこういう不毛な消耗戦だけはどうあっても避けなくてはなりません。

 「要らない」「買わない」を翻意させることはできない。

 大切なのは、拡大したサービスが本当にお客様に求められているかどうか、です。あなたが頭で考えた「素晴らしいサービス」が、お客様にとっての「理想的なサービス」とずれることは、よくある話です。ここに気づかず、ただ自己満足でサービスを拡大するだけでは、かえって組織のお荷物になりかねません。

 こういう事態を避けるためには、「こうするとよさそうだ」と思ったことは即座に実行し、その結果として表れる各種数字(販売数、粗利益、集客数)を把握して、施策が正しかったどうかを検証することです。検証の結果が「是」ならそのサービスはそのまま続行、「非」なら即座に改める。トライ&エラーの繰り返しであなたの率いる部門は強くなっていきます。