あるとき私は、A支店長からこんな相談を受けました。「うちの支店はこのところずっと一番になれていません。これでは支店のメンバーの士気も下がる一方です。なんとか一番になるいい方法はないでしょうか」。私はいいました。「そんなことなら簡単だよ」。「毎週月曜日、合意を得た営業担当者から、1000円徴収する。そして金曜になったら、その週で一番成績が良かった担当者を表彰し、集めた金は報奨金として全額渡すんだ」。
当時、その支店には14人の営業担当者がいました。ということは頑張ってよい成績さえ出せば毎週1万3000円の臨時収入(自分の拠出分は除く)が見込める。月なら合計約5万円です。これで担当者たちは俄然やる気になり、その支店はキャンペーンを圧倒的優勝で飾りました。この手法は一例ですが、「金で釣るような真似をして…」などと頭から否定的には考えない。部下のやる気は、究極的には金で買うのが最も効果的です。
これは昔話で、今は時代も変わっていますから、いっそ100円ずつで構わない。そこに上司が自腹で5000円ほど拠出する。それでも部署に15人もいれば、一番成績の良かった担当者は集まったお金でちょっと贅沢な食事くらいはできます。金額自体はさほど重要ではありません。あなたの部下にとっては、自分の頑張りがきちんと認められ、かつ具体的な形で褒められることがなにより嬉しいのです。
部下が自然にモチベーションが高くなるような環境をつくれ
いい会社、いい部門とはなにか。私なりに定義するならばそれは、大学のサークル室のような雰囲気がある組織です。そうである以上、時にはこういうゲーム感覚を持ち込むことも必要です。サークル室は本質的に遊びの場ですから。
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