さらに宅配便業界は、レジャー需要を当て込んだサービスを始めました。スキー板やウェア、ゴルフ用品など、重くてかさばるものを事前に指定の場所まで運んでくれる(そしてまた自宅に送り戻してもくれる)。これでお客様は手ぶらで行き帰りできるようになりました。さらには、通販したものを玄関先で決済できるサービスも始まりました。お客様はもうカード番号の漏洩を心配することなくネットで買い物ができる。

 同様のことは、わが社とは浅からぬ縁のあるダスキンでもありました。設立当時はモップやマットなどを定期的に交換するだけの、いってみれば単純なビジネスモデルだったものが、やがてお客様のお宅を掃除するサービスを始め、家事全般を代行するサービスも手がけるようになり、さらにケア事業にも進出した。

 わが社のもうひとつの収益の柱である経営サポート事業もそうです。当初はただ会社見学会を開催する程度だったものが、やがて経営者向けの勉強会を行なうようになり、次いで管理職向けのセミナーを始め、さらには幹部社員を全国の中堅・中小企業に派遣して経営改善のお手伝いまでするようになりました。

 …と、このように自社がお客様に提供できるバリュー(価値)を、仮説を立てては実行したり、その成果をにらみながら変化させたりして増幅していくことを、経営用語で「オーグメント・アプローチ」といいます。

進化の止まった会社を待つのは、ただ死のみ

 ここであなたが意識しておくべきことはふたつあります。ひとつは、このオーグメント・アプローチを取ることができなかった企業は、過去にほぼひとつの例外もなく倒産するか吸収されるかして淘汰されたということ。そしてもうひとつは、オーグメント・アプローチを実践するためには、自社の置かれている状況を常に客観的に捉えておく必要があることです。

 後者についてもう少し詳しくいえば、こういうことになります。いまのところ売り上げは立っている。利益も出ている。だから大丈夫だと慢心することなく、「もっと売上を伸ばす方法はないか」「より効率的に利益を計上できる業務フローはあるか」と現実を見て、評価する。これはもちろん、前項の『世の中には「これが正しい」ということはあり得ない』とも通底するものです。

 宅配便業界もダスキンも、そしてもちろんわが武蔵野も、「これでいい」「これで大丈夫だ」と思っていては進化はありませんでした。業績がいい時でさえなお、尻に火がついたような気持ちで「他にやれることはないか」「もっといい方策はないか」と血眼になっていたのです。

 進化の止まった会社を待つのは、ただ死のみです。

(構成:諏訪 弘)

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