(写真:PIXTA)

 自分が率いる部門の業績をもっと伸ばしたい。心ある管理職は、いつもそう思っていることでしょう。思うばかりか、実現に向けてなんらかの手を打っていると思います(そう信じます)。人員を増やす。部下を教育する。売りたい商品のブラッシュアップをする……。こういう施策は大切なことですが、実はそれ以上に大切なことがあります。他ならぬあなた自身の意識改革です。本章の小見出しにもあるように、『世の中には「これが正しい」はあり得ない』としっかり弁(わきま)えておく。これが不可欠です。

 世の中は、常に変化しています。法律も変われば人口分布も変わる。お客様の趣味や嗜好も変わる。当然、営業スタイルもそれに合わせて変化させなくてはなりません。昨日正しかったやり方が今日も正しいという保証はどこにもないです。

 私は講演やセミナーなどで「中堅・中小企業は世の中を変えることはできない。しかし世の中の変化についていくことはできる」といいます。それは容易なことではありません。普通にしていたって変化についていくのは難しいから、まして「これが正しい」と慢心したら、世の中の変化に自社をミートさせていくことはきわめて困難になります。

 「創業×××年の老舗が倒産」とか、近代以降の日本経済を支えてきた大企業が苦境に陥っているといったニュースを時折、目にすることがあります。私はそういう倒産劇、転落劇をいくつか精査したことがあります。そこで気づいたのは、古くからのビジネスのやりかたに固執していたことが直接・間接に倒産(または斜陽)の引き金になったケースが多いという厳粛なる事実です。老舗や大手が看板にあぐらをかいて変革を怠ったために、いつしか世の中に置いていかれ、やがてお客様からも見放されて立ち行かなくなった。「これが正しい」の思い込みによる弊害の最たるものでしょう。

自社のバリュー(価値)を増幅するオーグメント・アプローチ

 私がいつも「世の中のことをよく見ているなあ」と感心するサービスのひとつに、宅配便があります。あなたも日常的に利用していますよね。さあ、そこで考えてみてください。つい半世紀前まで、宅配便は荷物を送る・受け取るだけのサービスでした。それがいつの間にか生鮮品・冷凍品も送れるクール便のサービスが始まりました。前後して、荷物の受け取り日や時間帯も指定可能になった。万一荷物を受け取り損なっても、お客様はスマートフォンなどから簡単に再配達の申し込みができる。