わが社でも各種のデータをネットワーク上に置いてはいますが、「そんなものは社員は見ない」という前提のもと、同じものを壁一面に貼っています。すると営業に出かけるとき、帰社したとき、デスクワーク中にと、常に現在の状態が目に入ってきます。この「常に目に入る」が大切です。そうすれば部下は「次は何をしなくてはならないか」がきちんと認識できるようになりますし、あなたもより適した指示がリアルタイムで出せるようになる。

 7~8年くらい前、ビジネスの世界で「見える化」という言葉が流行りました(現在でも重要なビジネス用語として定着していると思います)。この見える化の要諦は、見ようとしなくても必要な情報が目に入り、そして見た瞬間にその人のアクションが変わるものにすること。それが実現できないものは「見える化」とは呼びません。ただの「見せる化」です。

人は他人と比べられているうちは成長しない

 ここでひとつ、部下の頑張りを引き出すための「見える化」のコツを紹介しておきましょう。

 それは、部下1人ひとりが今の自分と過去の自分とを比べられるように「見える化」することです。たとえば、部下の営業成績を時系列で見えるようにします。そして、部下A君の今月の成績が、先月あるいは前年同月の成績に達していないとわかれば、あなたは書かれた数字を示してこのことをきちんと指摘する。

 大事なのは、「過去の本人」と比較することです。多くの管理職が、部下同士を比べ、競争させて育てようとします。今の若い人たちは、他人と比べられるのを嫌がります。「あの人だから、あの営業エリアだからできるんだ」と開き直るからです。しかし、過去の自分との比較であれば言い訳のしようがありません。担当業務や担当エリアが変わって単純比較ができない場合も、比べる相手が自分なら「あの頃の俺には負けたくない」と素直に思えるはず。

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