情報収集力を鍛え、仮説の精度を上げる

 仮説の精度を高めるための努力はもちろん必要です。

 それでは、より確かな仮説を立てるために必要なものとは何でしょうか。情報です。商品やサービスの販売戦略を考える際には、消費者の嗜好や競合の状況を的確に把握しておく必要がある。あなたが社内で新しいことに取り組む際にも、仮説・検証は重要です。あなたも、部署の配置転換や業務改善の計画を作る際には、「A君にこの仕事をさせたらもっと実力を発揮するに違いない」とか「B君のあの業務をやめたら部署の収支はこれだけ改善するはずだ」といった具合に、仮説を立てる。

 そのためには、部下の労働状況はもちろん、適性や心理状態といった「情報」も正確につかんでおく必要がある。きちんとした情報に裏打ちされた仮説を立てれば、その分だけ正解に早くたどり着ける。リーダーには、様々な情報を収集する力が求められます。これは、簡単なことではないように思えますが、少し目線を変えるだけで、目の前にいかに多くの情報が転がっているかに気付きます。

 「いま、景気のいい業種はどこか」を知りたいとき。私は特別なことはしません。毎朝、日本経済新聞に目を通すのです。読むのは記事ではありません。注目するのは広告です。どの業種の企業がどの大きさの広告を出しているか、それを「定点観測」します。すると業種ごとの景気の変化が見えてくる。私の経験上、これが最もリアルに景気を反映しています。

「変化するもの」よりも「変化しないもの」に着目せよ

 文字や数字で提供される情報だけが役立つわけではありません。むしろ本当に生きた情報は「情報の顔」をしていません。それでもあなたの目の前にはっきりと存在します。

 身近な例を挙げましょう。街で評判のレストランがあります。あなたはその店の実力を何によって判断しますか。行列の人数、それとも店の席数でしょうか。

 私が注目するのは厨房の人数です。客の回転が悪ければ勝手に行列はできるし、席数が多くてもそれがいつも埋まっているとは限りません。一方、店構えに比べて多くの料理人がいる店は、それだけ料理が出る、あるいは料理に手をかけている。そしてそれだけの人数を雇える売上を安定して確保しているということです。「自分の舌で味を確かめて実力を判断する」という人もいるでしょう。その姿勢は大切ですが、味の評価は好みに左右されます。もっと客観的な情報に注目すべきです。

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