(写真:PIXTA)

 「なにを、どのように売ればよいか」。過去の当連載で私は「お客様に訊いて決めろ」と述べました。いわく、すべてのことはお客様がご存知なのだから、と。ただし──ちょっと矛盾したことを述べますが──、お客様にヒアリングをすれば充分かというと、そういうわけではないのです。お客様は適当にアンケートに答えることは珍しくないし、モノなりサービスなりを買うときに理論武装しているわけではないからです。

 お客様に訊く事は大切ですが、それを1から10まで鵜呑みにすると誤ります。アンケートや市場調査などでは、ある程度の情報しか分かりません。精度を高めるためには、仮説を立て、それを実行し、そして結果を検証する、このサイクルを繰り返す必要があります。「Aという商品のニーズが、Bという地域の住民の間で増している」と仮説を立てたら、実際にAを仕入れてB地域とそれ以外の地域で売ってみる。そして、Aがどれだけ売れたのか、B地域では他の地域よりも多く売れたか、こうしたことを「数字」で確認する。

 仮説を立てる際には、心しておくことがあります。仮説自体に厳密な根拠を求めないことです。多少乱暴にいえば、仮説は「まあ、こんな感じで」と、手軽に決めて構いません。大切なのは、仮説に基づいてすぐに行動することです。仮説が正しいかどうかの判断は、実行の結果として現れる数字によってしか見えてこないからです。実行が遅れたら、仮説が正しいかの検証も遅れる。そうこうしている間にチャンスを逃します。

 仮説には「正しい」「正しくない」の2択しかない。単純にトライ&エラーを5回ぐらい繰り返せば、ある程度確かな答に行き当たります。わずか5回です。仮説はあくまで仮説に過ぎないから、「仮説が正しいかどうか」などといつまでも議論していても意味はありません。そんな暇があったら、さっさと実行して確かめることです。