お客様は日々変化します。趣味嗜好も変われば、購入の動機も変わる。例えば、これまで鮮魚店で主にマグロやサケを買っていた常連のお客様が、ある日を境にアジやサバばかり買うようになるのは特に珍しいことではありません。あるいは、昨日まで価格の安さを第一に店選びをしていたお客様が、今日からはサービスを重視するようになるのもまたよくあることです。大切なのはこうしたお客様の変化をいち早くキャッチし、それに合わせて自社を変えていくことです。

職責の高い人ほどお客様情報の収集に熱心であれ

 では、どのようにしてお客様の変化を把握すればいいのか。

 ここで「お客様に訊けばいい」というと、冒頭の話とリンクしますが、あいにくお客様は自分自身の嗜好の変化について割に無頓着なケースもあります。そこで次善の策として、最前線の現場で直接お客様と接している社員に聞いてください。今日、お客様の様子はどうだったのか。どんなことを言われたのか。どこを褒められたのか、あるいは叱られたのか。何かご要望はなかったか…。こうした情報を蓄積していくことで、お客様の変化を知ることができます。

 ただ黙って社員の報告を待っていては駄目です。管理職のあなた自身が社員に直接聞きに行かなくてはなりません。目の前の仕事に追われている中で、わざわざお客様の話を上司にしに行くなんて面倒なことはしないのが普通の社員ですから。わが社でも「お客様情報は上長自らが部下に聞きに行くこと」をルール化しています。お客様情報を報告しない一般社員が悪いのではなく、把握しようとしない管理職が悪いのです。

 部下に報告させるだけでなく、あなた自身も積極的にお客様訪問をして情報収集に務めてください。部下は、こういっては語弊もありますが、所詮は部下です。お客様の変化を見抜く目、気づく感性もあなたに比べれば大きく劣ります。私だってこの歳になっても現場巡りを欠かさず、盆暮れには自ら花を携えてお客様訪問をし、リアルタイムでお客様情報を仕入れています。こういうことは、職責の高い人ほど積極的に行なうべきです。

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