たぶんそんなことはないですよね。「i-modeで充分だよ」とか、ひょっとしたら「iPodに電話機能がついたからって、それが一体なんだというんだ」とか思って、しばらくは様子見を決め込んだ。それがいつしか周囲に一人二人と使用者が出てきて、評判や使い勝手なども耳にして、それでようやく興味を持ち、購入に至った。これは、まず大部分のお客様の行動原理といってもいい。

 お客様は、口頭でいくら「新しいサービスができました」「素晴らしい商品が出ました」とご説明しても、その場ではなかなかご納得いただけない。ところが、一度でもお話ししておけば記憶の片隅には残る。そして何かのはずみで「そういやあの小山っていうのが、なんとかフォンとかいう先進的な携帯電話を勧めてきたっけな」と思い出すことはあります。そうなったらしめたもの、小山の会社からお買い上げくださる。これはライバルに先んじて「情報」をお伝えしていたからです。

 駄目な会社は、一たびお客様に「いらない」「買わない」といわれたら「未来永劫いらないし、買わないのだ」と思ってしまう。だからそれ以上のキャンペーンをしません。違うんです。お客様の「いらない」「買わない」は、あくまでも「そのときに限っては」いらない、買わないということに過ぎない。時間が経って状況が変われば、「ほしい」「買いたい」にもなる。いまあなたが、かつてはこれといって興味もなかったスマートフォンをお持ちのように。

 あなたがキャンペーンの類を企画するのを億劫がるとすれば、それは「キャンペーンなんかやったって、どうせ骨折り損のくたびれ儲けに終わるだけだし」という思い(または過去のそういう体験)があるからでしょう。

 お気持ちはわかりますが、こういうことはもっと長期的な視点で見なくてはいけません。即座には売り上げにはつながらなくとも積極的な販促を続けている会社と、「どうせ大勢は変わらないよ」と思って販促を怠る会社、両者は一年で大きな差がつきます。

(構成:諏訪弘)