いま、あなたの率いる部門に新人が配属されたなら、あなたの部下は満足度も、そして仕事へのモチベーションも非常に高い状態にあるといえます。チャンスです。あなたが管理職ならば、そういう状況を利用しない手はありません。

あなたは新入社員に教育を施そうとしてはいけない

 といって、具体的にはどうしたらいいのでしょうか。

 一番いいのは、部下には(それもなるべく若い部下には)新人の教育を担当させることです。「教育」といってもべつに身構える必要はありません。なにをやらせてもいいのです。会社の慣習を教えさせるでもよし、部下のお客様訪問に同行させるでもよし、あるいは雑用を共にやらせるもよし。

 こういうことは、管理職が率先して采配してやらなくてはいけません。部下は部下なりに、特にあなたの前では新人に対し遠慮するところもあります。中には、教育係を命じられて面倒臭がる部下もいるかもしれません。でもそれは「口だけ」です。口でポーズを取っているだけです。内心は絶対に嬉しいと思っていますから、遠慮なく任せてやってください。

 逆にあなた自身が、あるいはあなたに準じるような立場の人が新人の教育担当になるのは、これは最悪ですから絶対に止めてください。なんといっても新人はつい昨日までは学生、いってみれば子どもも同然です。そんな低レベルな人材はあなたの施す教育など高度過ぎて理解できません。しかもあなたはその優秀さのゆえに、相手が「理解できない」ことが理解できません。これでは人材が育つわけがない。「名選手、必ずしも名監督ならず」という言葉の通りです。

 右も左もわからない新人の教育係として一番ふさわしいのは、ようやく左右の区別がつくようになったレベルの人材、すなわち入社2~3年目くらいのあなたの部下です。これが鉄則です。ちょっとだけレベルが上の社員がインストラクターになるとは、「つい昨日の自分」を教育するということです。当然、相手がどういうことで困っているのか、どういうことでつまずいているのかが手にとるように理解できます。この理解があることが人材教育においては非常に重要です。

 低レベルな社員がさらに低レベルな社員に仕事を教えるわけですから、その教育レベルはあなたの目からすればお話にならないくらい幼稚なものでしょう。中小企業にいるのは、常に「それなり」の人材です。そういう人間が一足飛びの急成長などできるわけないのですから、あなたはそれを嘆いてはいけません。幼稚なことを、幼稚だからといって軽視することなく、倦まず弛まず積み上げていくことが中小企業における人材教育の最適解です。ここでいう「幼稚」とは、言葉を換えれば「きめ細かい」ということに他なりません。