「この部下は使えない」 その思いは態度に出る
私は、わが社の管理職が部下の異動を願い出てくるたびに、「あなたが変わりなさい」「××くんが『使えない』のはとっくにわかってる。それを『使える』ようにするのが君の仕事だろ」と叱ってきました。
とはいえ実は、最近の私は「まあいいか」と判断できるケースについてはなるべく希望に沿うよう、つまり異動させることもあります。なぜなら、現実問題として、「××くんが使えない」などと平気で口にできる管理職が、この先も彼の面倒をきちんと見るでしょうか。果てしなく疑問ですよね。そんな管理職の下に××くんを置いたままにしていたらどうなりますか。リソースが無駄に垂れ流されるだけではありませんか。
いや、リソースが無駄になるだけならまだましです。よく言われることですが、心は行動を規定する。だから「使えない」というネガティブな気持ちはしばしば、管理職としては感心できない態度となって現れます。無視したり、人格的な罵倒をしたりとかね。直属の上司からそういうことをされた部下はどうなるか。言うまでもないですね。仕事が面白くなくなり、会社が嫌になって辞めてしまう。特に最近の若い社員はストレス耐性の低い人が多いのです。
従来、中小企業は無責任で、「上司と部下、相性が悪くてもしかたがない」「それで部下が辞めてもやむなし」「辞めた人材は、また募集をかけて補充すればいい」などと考えている節(ふし)がありました。しかし、大変な人手不足の状況が続く現在は、もはやそういう時代ではない。辞めた人材の補充は利きません。

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