「今いるメンバーが最善かつ最高なのだ」(写真:pressmaster/123RF)

「部下が使えない」と愚痴をこぼす管理職は無責任

 私はときどき、管理職からこんな陳情を受けることがあります。「部下の××くんがどうにも使えない。異動させてほしい」──。「部下が使えない」というのは多くの管理職に共通する悩みです。あなたも同じように思うことがあるでしょう。思うばかりか、実際にそう訴えた経験もおありかもしれません。一般に中堅・中小企業は社長と管理職との距離が近いため、人事のようなデリケートな問題も、このように比較的フランクに話すことは珍しいことではありません。

 では、ここで問題。「部下を異動させてほしい」という、あなたの希望を社長はいったいどう聞くでしょうか。

 端的にいいましょう。社長は「やれやれ、厄介なことになっちゃったなあ」と思って聞いています。まあ、どう控えめに言ってもポジティブな意味ではないですよね。つまりあなたは建設的な提言のつもりで「異動させてほしい」と言っても、社長はそうは受け止めてくれないです。

 なぜあなたの至誠(?)を社長は理解してくれないのでしょうか。理由はふたつあります。

 理由の1。そもそも中堅・中小企業においては、人事はトップの特権で、社長は「管理職が差し出がましいことを言うんじゃない」と思うからです。と、このように(あえて)挑発的な書き方をすれば反発もあると思いますが、この勝負、あなたに勝ち目はありません。会社で一番繊細に組織を見ている人間は、社長です。人材を采配する「目」はあなたより絶対に確かです。

 理由の2。社長は「部下の××くんが使えない」ことくらいすでに百も承知で、それをなんとか使える人材にまで育ててくれという思いで、あなたに「預けて」いる。私の過去の連載をお読みの方なら、管理職に期待されている最大の仕事のひとつが、人材育成であるとご承知のはず。だから「部下の××くんが使えない」と愚痴るだけでも相当に無責任な話なのに、「異動させてほしい」とまで言うのは「私は管理職としての義務をまっとうしません」と宣言するに等しい。

 ね、こう聞けば社長が渋い気持ちになるのも理解できるでしょう?