「現状維持ができれば御の字」という甘い姿勢では…。(写真:nexusplexus/123RF)

地域一番の繁盛店はなぜ倒産したのか

 最初に、倒産したA社の話をします。

 A社は、首都近郊のベッドタウンを中心に複数の飲食店を経営していました。どの店も良心的な値づけと味の良さで、地域一番の繁盛店でした。ところが年を追うごとにお客様が減って、一店舗、また一店舗と店を閉じていかざるを得なくなりました。ついには事業停止…。まあ「よくあること」ではあります。あなたも似たような話はどこかで見聞きしたことがおありでしょう。

 ではどうしてA社はお客様を減らしたのでしょうか。べつに大幅値上げをしたわけでもなく、味が落ちたわけでもない。経営者が慢心したわけでもない。スタッフの教育も怠りなく、常に良心的な経営を心がけ、地元のお客様にも愛されてきたのです。それがなぜ閉店・倒産の憂き目を見なければならなくなったのか。

 …と、おや? どこかからこんな声が聞こえてきました。
 「そんなのわかってるよ。どうせ小山のことだ、『社会やお客様の変化についていかなかったせいだ』というんだろ」。

 そう、まさにご明察です。でも、そこに理由を帰して事足れりとするのでは思考停止です。では、もう少し踏み込んで考えてみましょう。A社が「変化についていかなかった」とは具体的にはどういうことなのか。

 以下でA社の凋落劇を分析してみます。