だいたい心という目に見えないものは、第三者が口頭でとやかくいったくらいのことでは変わりません。部下があげてきた売上、その仕事をこなすまでに要した時間といった「目に見えるもの」を追求し続けることで、ようやく少しずつ変わります。もしこの過程において心を問うたらどうなるか。それはまさに先ほど述べたように「仕事の場で個人的な好悪の感情が入る」ことになる。

 これは非常に大きな問題です。なんとなれば叱責が人格攻撃につながりやすいためです。売上が伸ばせない部下には「この給料泥棒」、仕事が遅い部下に対しては「このノロマ」というふうに。好き嫌いでものをいえばそうなるのは当たり前ですが、これは一発で部下のやる気を削ぐことになります。

部下の心を問わなければ業務上の指示も具体的になる

 逆に、心を問わないことを徹底していたらどうなるか。あなたが見るのは必然的に部下の仕事とその成果だけになりますから、こんなふうないいかたができます。「きみには××万円を売り上げるノルマがあったよね」「現状では××万円足りない。お客様訪問の回数を毎日5件増やしなさい」と。これはきわめて具体的な指示ですから、部下も仕事がやりやすくなります。

 また叱責する場合も、あくまでも事実に基づいたものになるので彼も一応の納得ができます。もちろん叱られた直後は多少バツの悪い思いもするでしょうが、指示が具体的なのでモチベーションも維持でき、後にしこりも残りません。このあたりの機微については前回の記事(「成果を出したい管理職のための『叱り』道」)も参考になると思います。

 「心を問うてはいけない」というと、「いつもコミュニケーションを重要視している小山には珍しいな」と思われる向きも少なくないと思います。しかし実は、心を問わないことこそがコミュニケーションを良くし、部門の雰囲気を明るくするコツです。

(構成:諏訪 弘)

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