「部下の仕事“だけ”しか見ない」と自分に暗示をかけよ

 まずあなたが心しておくべきは、仕事の管理を徹底することです。

 とかく組織で「管理」というと、「人の管理」と同義になりがちです。しかしこれはとても危険なことです。人を管理しようとすると、どうしても個人的な好き嫌いが入ってしまうからです。それは人間である以上はしかたがないことだともいえるのですが、だからといって仕事の場で個人的な好悪の感情が入ることは許されません。

 単純な話、あなたが部下に「俺、きみのこと苦手なんだよね」と、なにかのはずみで口を滑らせたらどうなりますか。考えるまでもありませんよね。彼はあなたへの不信をつのらせ、仕事へのモチベーションはゼロになるでしょう。これでは成果を挙げることなど到底おぼつきません。人を管理しようとすると、こういう事態が起きる可能性があります。

 そういうネガティブなことはいわなければいい? 理屈のうえではそうかもしれませんが、私には少々疑問ですね。「こいつ、なんとなく虫が好かないな」という気持ちは、なにげない所作やふるまいなどから必ず相手に伝わるものだからです。

 となると、これはもう、あなた自身が意識改革をするしかありません。「朝9時から夕方5時までは、部下の人間性なんか考えない」と自分に強く暗示をかけ、とにかく部下の仕事「だけ」を見るようにする。つまり部下個々人の進捗状況はどうか、費用対効果はどうかといったことを確実にチェックしていく。

 チェックは日単位で行なってください。それが無理ならせめて週単位です。もちろんあなたは、予定より遅れている部下がいればその都度アドバイスを与え、パフォーマンスが落ちていれば惜しみなくサポートをしと、陰に日なたにと力になってやらなくてはいけません。これくらい細かくやることで部下は「まずい。課長は本気だ」と気づきます。というよりは、そう気づかせなくては部下は動きません。

 私が冒頭から「仕事の管理を徹底することです」と書いたのは、こういうことは人の管理、すなわち好き嫌いが間にあってはできないためです。

部下の心を問うてはいけない

 もうひとつあなたが心しておくべきは、部下の心は決して問わないことです。

 「心を問わない」とはどういうことか。簡単にいえば、部下が真面目にやろうが不真面目にこなそうが、それはどうでもいいと開き直ることです。とにかく与えた仕事を指示した通りに、そして予定通りに完遂してさえくれればいい、と。

 真面目で優秀な管理職は──つまりあなたのような管理職は、こういう割り切りがなかなかできません。つい「真心を込めて」とか「組織の一員としての責任と誇りを持って」といったことを考えて、部下にもそうであることを要求してしまう。ややもすれば仕事の成果そのものよりも、仕事に臨んでいるときの心持ちのほうを重視してしまう…。はっきりいいますが、それはまったく無意味です。

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